「あの…先生。どこに座ればいいですか?」



転校生の入野さんは少し申し訳なさそうに顔をしかめて、そう先生に訪ねた。



「あぁそうだったな。すまんすまん。それじゃあ児島の隣はどうだ?しっかりしてるから色々教えてくれると思うんだが…」



急に私の名前を呼ばれてはっとした。



…え?



あのイケメンが私の隣?



しばらく戸惑いを隠せないでいると隣の席に入野さんがやってきた。



「児島さんで合ってる?よろしくね。」



そう言って笑顔を向けてくれた彼。



しどろもどろになりながら「あ、合ってるよ!よろしくね!入野さん。」と答えるのには時間がかかった。



……胸のドキドキが止まらない。



恐らく今、私の顔は真っ赤に染まっているだろう。



斜め前の席からの優花の視線が痛い。



まるで「あとで話聞かせてね?!」と言わんばかりの表情だ。



私は目で優花を落ち着かせて授業の準備をした。