それからほどなくしてパパはまた仕事で出かけていった。
なんでも昨晩街の大きな商店が火事になったそうで、様子を見に行ったらしい。

「とりあえず丸く収まってよかったなぁ」
中庭の椅子に座ってお菓子をつまんでいる私の足元でプルーが言う。

「またアイドルの育成がしたくなったんじゃない?」
「お前こそ、アイドルの血が騒いだんじゃないのかよ?」

そんなことを言い合って互いに目を見かわせる。
もしもう一度ステージに立つことができたら。

そう思うと確かに血が滾ってくる。
だけどそうそう何度も歌って踊れるわけじゃない。

そう思ってため息を吐き出したとき、ママとフーリアが肩を並べて歩いてきた。

あのイベンド以来ふたりの関係は急速に改善され、今では私がいない場所でも仲良くしているみたいだ。