「私からもお詫びするわ。エレーヌ様、ごめんなさい」
頭を下げるフーリアにママはキョトンとした表情になった。

謝られる理由が思い至らないのだろう。
「それから、今度は私もふたりの仲間に入れてほしいわ。とても可愛くて嫉妬しちゃったもの」

フーリアはそう言うと、いつもの大人しい妃に戻って中庭から城内へと戻っていった。
その様子を見送り、私はほぅっとため息を吐き出す。

フーリアはママを暗殺する計画を知っていたのだろう。
それでいてか弱き妃を演じていた。

弱い仮面をかぶることで自分の地位を確立させていたといってもいい。
さすが、マルセルの妃だわ。

私は背中に冷や汗が流れていくのを感じたのだった。