「私、エメラルドのためだと思ってやっていたの。だけど違った。エラルドはそんなこと望んでいなかったのね」

ママの手が私の頭を撫でる。
私はママを見上げた。

「例えば私に子供がいれば。例えば私が第2王子の妃だったとしたら」
フーリアが小さな声で言う。

その声は風にのってどこまでも届くような凛とした声だった。
「あなたと同じことをしたかもしれない」

ママが鼻をすすり上げて顔を上げる。
「そしてやっぱり、子供に間違いを指摘されたかもしれない」

フーリアの視線が私へ向かう。
その瞬間軽くウインクをされてたじろいだ。

フーリアはこの状況を楽しんでいるように感じられたから。