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「ママもさぁ、もうちょっとフーリアにいい顔すればいいのにねぇ?」
ここは私専用の部屋。

6畳くらいの広さに子ども用ベッドやテーブルが置かれていて、一応勉強とかもここでしている。

とはいえエメラルドはまだ5歳だから、ママとパパのところで寝ることの方が多いし、勉強よりも遊びに熱心だ。

「フーリアに嫌がらせをして国から出て行かせようとしてるんだから、仕方ないだろ」
そう返事をしたのはプルーだ。

ムクイヌのプルーはふかふかのクッションの上に丸まっていて、顔だけこちらへ向けている。

このプルーが言葉を話せると知ったのは、城内に入り込んできたプルーが城を守っている兵士によって殺されてしまうかもしれないというときだった。

そのときプルーが『ここが城内に続く橋だなんて知らなかったんだ!』と叫んだ。
そしてその声は私にだけ届いたのだ。