音楽が鳴り止み、会場内が一瞬静かになったかと思った直後に爆発的な拍手が湧き上がった。

「素敵!」
「もっと見せてください!」
「おふたりとも可愛いわ! 可愛すぎるわ!」

みんなのキラキラとした視線を一身に浴びて、私とママのステージは終わった。

始まる前はあれだけ時間をかけて練習して、あれだけ緊張して出番を待っていても、始まってしまえばあっという間だ。

こんなに儚いものってあるだろうか。
私の隣でママが肩で呼吸をしながら微笑んでいる。

その笑顔は私へ向けるものでも、作られたアイドルのものでもなく、本物だ。
その証拠にママの視線はパパへ向いている。

パパはステージが始まってから終わるまでずっと立ちっぱなしで、ずっとママの名前を呼んでいた。
こんな幸せな家族って、他にないと思う。