大道芸人たちのステージが終わるとついおおとり、私とママの出番だった。
ステージ横に作られた、木製の衝立の裏でママが大きく深呼吸をした。

緊張で頬が紅潮しているのがわかる。
ふたりともすでにステージ用の衣装に着替えていて、私はピック色の何段にもフリルが重なったドレス。

ママは動きやすいAラインのドレスで、色は同じピンク色にした。
髪の毛は同じようにアップにして、ドレスと同じピンク色の大きなリボンをつけた。

これだけでも十分可愛いと私は思っている。
「ママ、大丈夫?」

緊張で表情が固くなっているママの手を握りしめる。
それはすこし汗ばんでいた。

「こういうのは初めてで、緊張しちゃうわ」
ママはそう言って引きつった笑みを浮かべる。

この世界じゃ馴染みのない歌とダンスだ。