廊下の角から様子を伺ってみると、ママと第１王子の妻であるフーリアが対峙しているのが見えた。
フーリアは第一王子の妃だけれど、その見た目はママに比べるとごく平凡だ。

地味な黒髪に小さな目に低い鼻。

それに加えて常におどおどしていて視線をさまよわせているので、この人が第一王子の妃で本当に大丈夫なのかと心配してしまう。

けれどもちろん妃候補は他にも何人もいて、その中から選ばれたのだからフーリアにもなにかしらの気質があったのだろう。

もしくは、ただ国と国とのつながりを重視したのか。
「も、もうしわけありません」

フーリアは義理の妹にあたるママに頭を下げて横へと避けた。

本来なら道を譲るのはママの方だけれど、自由奔放に育てられてきたらしいママはそういうことはしない。