ママを見上げてその頭をぽんぽんと撫でると、ママはフニャリと力の抜けた笑顔を見せる。
ここまで無防備な笑顔とは言わないが、顔は素でも作れるようになっておいて損はない。

「次はダンスと歌の練習よ、ママ」
「ダンスと歌?」
ママの笑顔がひきつる。

愛される人になると決めてからのママは毎日頑張っているけれど、まだまだ城内アイドルとは言えない。

「ダンスはみんながすぐに真似できるような可愛くて、簡単なやつをプルーが……ううん、ライムが考えてくれたの」

私はそう言うとママの膝からピョンと飛び降りて簡単な振り付けのダンスを披露してみせた。

手でハートマークを作ったり、飛び跳ねて喜ぶようなポーズが多い。
令和の日本では使い古されたダンスだけれど、この世界では新しい。

私のダンスを見ていたパパがすぐに駆け寄ってきて抱き上げて、頬ずりをしてきた。