「最近エレーヌ様の雰囲気が変わったわよね」
「なんだか話しやすくなったよなぁ」

城内で聞こえてくる噂話に私はにんまりと微笑んだ。

今の所ママの普段着を変えたことと、使用人たちとも頻繁に会話するようになった程度の変化だけれど、それでも城内で噂になるくらいには効果がでている。

「うまく行ってるみたいだな」
自室へ戻ったところでクッションからプルーが起き出してきた。

私の足にまとわりついてくるので、ふさふさの毛の頭をなでてやる。
「うん。使用人たちからの好感度はまぁまぁってところかな」

「今のところは手の届く地下アイドル。でも目指すのは城内アイドルだ」
「これから先がメインってことね?」

私はプルーを抱いてベッドに上がった。
ベッドの上に犬を上げると毛が散るとライムに怒られるのだけれど、守ったためしはない。

「そうだ。アイドルといえば歌って踊れる可愛い子。それがエレーヌにできるかどうかが問題だな」