だけど私はブンブンと左右に首を振った。

「ママ、あたちはフーリアおばちゃんやマルセルおじちゃんたちとも仲良くしたいよ。だから、ママもみんなと仲良くして?」

城内で敵を作ることは命を危うくすることだと、ママだって理解しているはず。
それでも今まで本気で危機感を持って来なかったのは、陰でママを守ってきた人たちがいるからだ。

料理が運ばれてきたときの毒味役、外出するときに付いてくる兵士たち。
そういった人たちがもし敵に回ればどうなるか、ママはまだわかっていない。

マルセルがすでにママ暗殺計画を企てているから、周囲の人たちがママを裏切る可能性だって高くなっているのに!

だけどそれを口に出すことはできなくて、グギギギギと奥歯を噛みしめる。
「エメラルド、そんな難しい質問をしてくるなんて、やっぱり誰かになにか言われたんじゃないの?」

怪訝そうな顔で質問してくるママに私はアイドルスマイルを浮かべた。
もちろんそこに幼さを残すことは忘れない。