しどろもどろになりながら聞くと、ママが盛大なため息を吐き出した。

「確かに、いい人かもしれないわね? だけど度胸もなければ子供も産めない。そんな人にいつまでも妃を名乗っていてほしくないのよ」

やっぱり、ママはフーリアを妃の座から引きずり降ろそうとしているみたいだ。
「ママはフーリアおばちゃんのことが嫌い? 仲良くしてほしいよ」

「あぁエメラルド。ごめんね、それはできないの」
「できないってどうして?」

「フーリアの夫、マルセル王が今後皇帝につくことになるのよ。そうすれば兄弟といえど大きな差がつく。ダニエルはただの国王だもの」

帝王になれば周辺の国をすべて支配することができる。
たったひとつの国を束ねている国王とは大違いだ。

やはりママはそこに強いこだわりがあるみたいだ。
「パパが皇帝になると、どうなるの?」

「あなたの将来が今以上に安定するの。戦争が起きたとしても、みんなが守ってくれる」
この世界では地位の高さこそがすべてなんだろう。