そしてようやく開けられた箱の中には一枚の真っ白なドレスが入っている。
シンプルにストンッと下まで落ちるAラインのドレスは上等なレースが使われている。

だけど普段のように何段にもフリルが重なったりはしていないので、とても動きやすいものだ。
2日前にママをアイドル化する計画を立てたあと、すぐに使用人たちに準備させた。

誰にも内緒でママにプレゼントしたいと言えば、すぐに動いてくれたのだ。
「まぁ、素敵なナイトドレス!」

「ママ、それは普通に着るドレスなんだよ?」
あまりにもシンプルだから、ナイトドレスと勘違いされてしまった。

「あら、そうなの? それでも良さそうね! レースがとても綺麗だわ!」
「それを着るときには、髪の毛は派手にしないで、この白いリボンをつけてね」

箱の中に一緒に入っていた真っ白なリボンを手渡す。
今のママの印象は正直黒い。

着るドレスも黒が多く、更には腹に黒い警戒を抱いているためそれがどす黒い雰囲気として表に出てきてしまっている。