城内の女性は一歩部屋から出るだけでも着替えをして、きっちりと整えている。
側近でもない限り、相手の完璧じゃない姿を見ることはない。

「確かに、ママならシンプルな服でも十分映えるよね。それに合わせて髪型もシンプルにまとめるだけにして、親近感を覚えてもらったらどう?」

「それを俺も思ってたんだよ。同じ城内にいるとしても、妃と使用人ではまるで違う。

使用人から見たエレーヌは美しすぎて近寄りがたい。そのイメージを変えれば自然とエレーヌって気さくでいい人なのかもぉ? と思い始める連中だっているはずだ」

「なるほど。地下アイドル作戦ね?」
今のママは城内にいる人達との距離ができている。

それを縮めるためにはテレビにバンバン出ているアイドルではなく、より身近に感じられるアイドルを目指すのだ。
「よし! なんだかやる気が出てきた!」