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ママは確かに綺麗だ。
誰が隣に立っても引けを取ることはない。

そんなママの遺伝子を受け継いだからこそ、私も城内ではあらゆる大人から可愛がられている。

だけど私が可愛がられる理由は見た目のためだけじゃない。
前世で培ってきたアイドルの知識をここでも十分に発揮しているからだ。

立ち振まい、笑顔、子供っぽさ、大人へ対する態度。
どれもが洗練されたもので相手の胸の奥深くに入り込むことができる。

「だけどあれだけ美人だと逆に反感を買うかも」
昼下がり、ベッドに腰をおろして私は呟いた。

いろいろなアイドルを見てきたけれど、欠点がないアイドルはいない。
むしろ欠点があるからこそ可愛いと思われている子も数多くいた。

「それなら大丈夫。普段から派手なドレスを着ているから、今度はシンプルなものを着るようにするんだ。衣装をおとなしくすればガラリと雰囲気も変わる」