私の前世のお母さんは、私が6歳の頃に病気で死んだ。
『お母さん! お母さん!』

それは真夜中の病院で、周りはとても静かで、私はひとりベッドで横たわるお母さんにすがりついていた。

お母さんの手はいつの間にかやせ細って、握りしめたときに骨の感触がして驚いた。

『×○※ちゃん。そんなに泣かないで。あなたの夢はアイドルになることなんでしょう? いつでも、みんなを笑顔にしなきゃ』

当時の私の夢はアイドルだった。
でもそれは偶然テレビで見たアイドルにちょっとだけ興味を抱いた程度で、本気じゃなかった。

それでも病床のお母さんはそれを信じて、私の手を握り返してくれた。
『うん……うん、お母さん、私アイドルになる!』

最後のお母さんの言葉を裏切りたくなくて、私は次から次へとこぼれだす涙を手の甲で拭って微笑んだ。
『可愛い笑顔。アイドルスマイルね』