☆☆☆

どうやって自分の部屋まで戻ってきたのかよく覚えていないけれど、気がついたら汚れていたドレスを着替えさせられていて、ベッドの上に座っていた。

きっと、私より5つ年上の侍女がしてくれたんだろう。
「早くママに伝えなきゃ!」

ベッドから飛び降りて部屋から出ようとをした私の前にプルーが立ちはだかった。
「ちょっと、なにしてるのよ邪魔しないでよ」

プルーが大型犬ではないけれど、5歳児の私からすれば十分大きくて抱っこして横へどかすこともできない。
「早まるな。エレーヌに伝えてどうするつもりだ?」

「そんなの、すぐに逃げるように言うに決まってるでしょ!」
早くしなきゃ、今日にでもママが暗殺されてしまうかもしれない。

もし、ママが死んだら?
考えただけでも恐ろしくて涙が出てきてしまう。

「ついさっき暗殺計画を聞いただけで、すぐに実行されることはないだろう。ちょっと落ち着け」
「なんでそんな風に言い切れるの!? ママが……ママが死んじゃうかもしれないのに!」