側近の言葉にマルセルが大きなため息を吐き出した。
「エレーヌに攻撃性は?」

「まだそこまでは見当たりません。ですがもしもフーリア様の座を狙っているのだとすれば、これからその可能性もあるかと」

「そうなる前にこっちから手を打とう」
「子供は、エメラルド様はどうするのですか?」

「あの子に罪はない。我が子として迎え入れよう」
マルセルの言葉に喉がヒュッと音を立てた。

ママが殺される?
背筋に冷たい汗が流れていく。

「おい、大丈夫か? しっかりしろ!」
その声に我に返ると、すでにマルセルと側近の姿は見えなくなっていた。

私は植木の陰から這い出してきてもしばらくその場から動くことができなかったのだった。