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この世界ではいつ戦争が起こるかわからない。

そんな世界で生き抜くための余生術として前世で培ったアイドルとしての礎を最大限に使っていただけなのに……まさかそれが原因で争いが起こるかもしれないなんて、考えたこともなかった。

「落ち込みすぎだろ」
ズーンと落ち込みながらプルーと共に中庭を散歩する。
こうしてふたりで会話しようと思ったら、自分の部屋か人の少ない場所へ行くしかないのだ。

「だって……まさか自分のせいだったなんて」
そうとわかればすぐにでもママを止めなければいけない。

私は今のままで十分幸せだし、これ以上をこの世界で望んでもいない。
エメラルドとして平穏な一生を終えたいだけだ。

どうやってママを止めようか考えあぐねていると、木陰の奥で人の話声が聞こえてきた。
私をプルーは何気なく植木の中に身を隠して聞き耳を立てた。