「お待ちください、それはどういう意味で?」

「しつこいですって、柊都どの。こんなに教えてあげたんですし、わたしはもう退出いたします。あぁ、この者たちの始末は頼みましたよ。それでは」

 夜来はそのまま出口に向かって歩き始めた。日はもうとっくに暮れていて、月明かりが扉の外から差し込んでくるおかげで、周りは少し明るい。

 霜歌はもう1丁の銃を取り出すと、立ち去る夜来の背に標準を当てる。そのままトリガーを引こうとして――、


 ぱしゅり、ぱしゅり。


 ――霜歌は立ち尽くした。


 そのままノーモーションでナイフを投げる。

 2人の、姉と幹部を殺したものに向かって。


 後ろから柊都の柊葭を呼ぶ声が聞こえる。

 わからない。

 あぁ、さっきから震えているのは支給されているスマホか。
 情報部隊からのメッセージか。
 見なくては、連絡しないと。

 いや、それより、こいつらの始末が先か。

 わからない。

 いやでも、夜来の後を追わなければ。

 わからない。


 あぁ、違う。濤とうかの遺体を運ばなくては。


 わからない。


 どうして、こうなった。