突然話を遮られた吉永は「ひぃっ」と震えた。
 霜歌たちは急いで気配の居場所を探る。前、いない、後ろ、違う、右にも左にもいない――。


 真っ先に気づいたのは、霜歌だった。

「――上だ!」

 言うと同時に、後ろにくるりとバク転をする。


「わぁ、さすが夜高家暗殺部隊総代、夜高霜歌さんですねぇ。お若いのに、優秀なことで」

「お前がそいつの主か?」

「そいつ? あぁ、こちらの吉永司さんのことですか? 遺体になってしまいましたけど」


 残念です、と言いながら謎の人物が示したところに横たわっていたのは、確かに先ほどまで話していた男性だった。
 目と口は薄く開き、心臓のあたりには長く大きいナイフが刺さっている。


「吉永にはまだ聞かねばならないことがあった。その代わりはどうする? お前が答えるか」

「え、もしかして怒ってます? いいじゃないですか、どうせ上からは()すようにと命が下っていたんでしょう?」


 妙に間延びした男の言葉に柊葭が「それは」と口を(はさ)む。