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 一時間後。

 ーーコンコン。

 いつものようにドアをノックする音が聞こえ、「どうぞ」と答えれば人懐っこい笑みを浮かべた旭が立っていた。


「お待たせ! さ、雅ちゃん。中庭に行こう」

「うん……! 私、てっきり旭くんに嫌われたと思ってたよ」

「俺に?」

「うん。だって、病気のことを言ったら、すごく困った顔をしてたから」

「そんなわけないだろ。むしろ、雅ちゃんのために頑張りたいと思ったよ。夜には、花火も上がるんだけどさ、それ俺も手伝ったんだ」

「ーーえ?」


 自分のために花火の準備をしたと聞き、雅は目を丸くして驚きつつ嬉しく思った。