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 1週間後。


「はーっ。俺が毎日忙しく働いてる間にお前は色恋にうつつを抜かしてるわけだな」

「い、色恋にうつつって……ってか、翔兄ちゃんの店ってほとんどおばちゃんが店にいるじゃん」

「俺の本業は漁師だし。漁師をしてる上にここも手伝ってるから超多忙じゃねぇか」


 ダブルワークをしていることを言われると、旭は何も言えなくなってしまった。


「まぁ、可愛い弟みたいな旭の恋路を邪魔するほど野暮ではない。で? どうなんだ?」

「どう、って?」

「決まってるだろ。雅ちゃんのこと。デートくらい誘えって」

「ブッ!」


 商店にやってくると、必ずジュースを買う旭。

 いつものように、喉を潤していたのだが、翔からの唐突な言葉で咳き込んだ。


「きたねー。店を汚すなよ?」

「だ、だって翔兄ちゃんがとんでもないことを言うから……」

「とんでもなくなんてないだろ。会って話してるだけだろ? しかも、病院だから面会時間も決まってるし。外で会えよ。熱中症で入院してるんだろ? それなら、もう退院できるだろうし、あの日にちょうど良いじゃん」


 そう言うと、翔がカレンダーを指差した。

 指差したカレンダーの2週間後の日付には、大きな赤丸がしてある。

 この日は、港町で盛大な祭りがある日だ。