〇 家・リビング(朝の食事中)
『次のニュースは連続女性吸血事件についてです。被害者たちに共通するのは首筋に残る縦に2つ並んだ噛み後です。被害者の女性によりますと、女子高校生に声をかけられた後、意識があいまいになり、気づくと部屋の一室に椅子に縛られた状態だったが、またすぐに頭がもうろうとし、気がついた時には病院のベッドにいたということです』
『以上のことから催眠が得意な女子高校生の吸血鬼、もしくは催眠が得意な女子高校生の格好をした吸血鬼の犯行と思われます。知らない人がたとえ女子高校生や子供だとしても我々人を騙すために吸血鬼がとっている手段かもしれません。女性の皆さんは事件に巻き込まれないためにも同じ性別だからと気を許さないでください。』
お母さん「最近若い子の間で吸血鬼化ってものが流行ってるらしいじゃない?結香も気をつけなさいよ」
結香「うん、大丈夫だよ。そんな流行私知らないし、心配しすぎだよ」
一条くんに言われてからそれまで以上に気を付けるようになった矢先に起きたこの事件
事件が起きた地域が家からは少し離れているけど、高校のある地域と重なっているから十分警戒しているつもり
毎日一人ずつ今日でちょうど4日目の日曜日
私の誕生日は今週の木曜日だからそれまでは気を張ってなくちゃ
〇 学校外・放課後(制服で寄り道中)
誕生日当日、気を張っていたけれど何も起きることはなく肩透かしをくらった
何もないことに越したことはないから安心できて、今日は友達2人と放課後、寄り道することになっている
私の誕生日を祝ってくれるらしくて断るに断れなかった
それに誰かと一緒なら狙われることもないって変に確信してた
友だち B 「ねぇ結香、もしこの後時間あるならついてきてほしい場所があるんだけど...」
カフェでケーキを食べてカラオケで歌いつくした帰り道
もう一人の友だちは彼と通話するからとすぐ帰ってしまった
まだ夕方だし、そこまで遅い時間でもないと判断した私は首を縦に振り、彼女について歩いた
足を止めたのはある家の前
友だち B 「ここ彼氏の家なんだよね」
結香「この前言ってた吸血鬼の?」
友だち B 「うん、そう。友だちを紹介したいって言ったら合鍵も渡してくれて、結香にも彼を紹介したいの。ダメかな?」
紹介したいだなんてちょっと嬉しいかも
友だちと吸血鬼の彼とが真剣にお付き合いをしているんだろうなと想像する
何も手土産がないけどいいのかなと言うとぼそりと何かつぶやいていた
(手土産なんて結香の血で十分だよ)
聞き取れなくて聞き返したけど『何でもないよ、早く行こう』と促されて彼氏さんの家にお邪魔した
〇 友だちの彼氏家・白を基調とした一室(彼氏さんの帰宅を待ち中)
友だち B 「連れてきたよ」
友だち B の彼氏の吸血鬼「来客用の椅子に座ってもらってて」
側にいると電話での会話が聞こえてしまって悪いから少し離れた
真っ白な部屋の机に置かれたグラスに注がれている赤いもの
もしかすると吸血鬼の彼に提供している友だちの血なのかもしれない
デリケートなことなはずだからみるのはよそう
丁度電話も終わったみたいだし彼女のもとへ
友だち B 「ごめんね結香、帰宅まで少しかかるみたい。」
結香「いいよいいよ、突然お邪魔しちゃったんだし」
2人でおしゃべりしていると玄関が開く音がした
部屋へ入ったその男性は、なんとスーツを着ていた
学生だと勝手に思っていたけれど彼女の彼氏の吸血鬼は社会人だったみたい
友だち B 「こちらは私が付き合っている吸血鬼の紅杜さん。彼女は私の友だちの結香。2人で談笑でもしてて?私、飲み物用意してくる」
友だち B の彼氏の吸血鬼「結香さんだっけ?いつも話は聞いてるよ。それに……特殊な血の持ち主なんだって、ね?」
結香「え?」
友だちの姿が見えなくなった途端雰囲気が豹変した彼氏さん
逃げようと椅子から立ち上がろうとしたけど力が入らずしりもちをついてしまった
友だち B の彼氏の吸血鬼「上手く力が入んねーだろ?」
そう言いながらじりじりと距離を詰めてくる
出口は彼の後ろ側
友だちが戻ってきたら少しは気が散るはずだからその時にスキをついてどうにか逃げればいい
友だち B 「戻りました。結香の血はどうですか?」
友だち B の彼氏の吸血鬼「飲み物に溶かした薬は効いてるが、お前の催眠効いてないぞ」
友だち B 「結香は何の疑いもなくついてきてくれるはずなので、催眠は使わないはずでは……」
私にはなんのことかさっぱり分からなかったけどこれだけは理解できた
友だちはあっち側だったってこと
今この家には見方が一人もいないってこと
どこからウソだったんだろう
友だちだと思ってたのは私だけだったのかな
そう思ったら涙が止まらなかった
(元)友だち B 「結香ごめんね。彼が言うことは絶対なの。だから彼のために血、分けてくれるよね?」
吸血鬼「あいつは俺にご執心でな、俺と一生を添い遂げる気でいたんだ。人間の一生なんて俺たちにはほんの一瞬でしかない替えの利くただの餌なのに、だ。吸血鬼にはそれぞれ一種類の個体特性と二種類の種族特性があるんだが種族の特性を使ってあいつを吸血化させ俺の配下にした。だからおれに逆らうことはできない。おかげで特殊な血の持ち主のあんたにも近づくことは簡単だった。恨むなら自分を恨みな」
そう言いながら私の服(首元だけ)を乱暴に破いた
一条くんに噛まれるときとは違う
恐怖で動けないし、何も反撃できない自分が嫌でたまらない
──バチン!
吸血鬼が私の首元に噛みつこうとしたその瞬間
大きな音がして吸血鬼がはじかれた
吸血鬼「な?!お前、始祖の......本家の者の契約者か」
(元)友だち B 「紅杜さん!大丈夫ですか?!」
吸血鬼「くそ、すぐに居場所が特定される。俺は終わりだ」
──ピンポーン
吸血鬼「ひぃ!」
さっきまでの勢いはどこへやら
ぶつぶつと何かを繰り返しつぶやくだけで何もしてこようとはしない
一条「花畑さん、大丈夫...じゃなさそうだね。怜鳳」
柊「はい。仰せのままに。」
一条「それじゃ後は頼む。花畑さんとそこのウチの生徒も早く行こう」
(元)友だち B 「嫌です!いくら生徒会長だからって人の家に不法侵入していい理由にはなっていません!紅杜さんをどうするつもりですか!!」
『そ。ならそこにいるといいよ』と言うや否や私を抱え、玄関へ向かいはじめた
友だちだった彼女が気になり、後ろを振り返ろうとするも一条くんに止められる
一条「彼女はただ操られていただけだから何もしない。片が付けば彼女も人に戻る。まぁ、専門のカウンセリングは必須になるけど」
結香「あの、吸血鬼の特性の話と私の血がどうのって言ってて。」
一条「帰ったらその話をしよう」
玄関を出てしばらく先、足に力が入らない私を気にしてタクシーを呼んでくれた一条くん
着いた先は、なんていうか、その、、、
言葉では言い表せないほどの豪邸だった
〇 一条家・客間(一条君と二人っきり)
一条「しばらくしないと薬は抜けないと思うから。きつかったら無理しないで言ってくれて構わない」
結香「ううん、大丈夫だよ。一条くんと柊くんが来てくれなかったらって想像したら......本当にありがとう。」
一条「まずはそれについて話そうか。俺たちがすぐに駆け付けれたわけ。」
続けて話をしてくれたのは吸血鬼の特性について
吸血鬼には、
①自身の血を分け与えることで同族にして仲間を増やすことができること
②眷属といって自身の忠実な僕を自身の血を分け与えることでつくれること
以上の2種類の種族的特性があると教えてくれた
一条「あとは個体特性のことだけど......俺の場合は対象者に保護をかけることができる。危険が及びそうな場合はその危険を遠ざけ、その保護が発動したときの察知ができるようになっている。これは吸血鬼によって違うんだ。」
結香「あっ、確かあの吸血鬼が俺の配下だったり、吸血鬼化、それに催眠とかって言ってたような?」
一条「あいつの手口だったか。でも大丈夫、もう今後は罪を犯すことはできない。だからもう寝たほうがいい」
そっと頭を撫でられ顔に熱が集中する
助けてくれた時もかっこよくて今も胸が高鳴り続けている
これってやっぱり恋なのかな
考えたって答えは出なくて
赤い顔をみられたくないから素直にうなずいた
どこかへ電話をかけた一条くんを最後に瞼は閉じていった
一条「そいつは記憶を操作しなくていい。本家にそのまま連れていけ。生徒の方だけ頼む。」
『次のニュースは連続女性吸血事件についてです。被害者たちに共通するのは首筋に残る縦に2つ並んだ噛み後です。被害者の女性によりますと、女子高校生に声をかけられた後、意識があいまいになり、気づくと部屋の一室に椅子に縛られた状態だったが、またすぐに頭がもうろうとし、気がついた時には病院のベッドにいたということです』
『以上のことから催眠が得意な女子高校生の吸血鬼、もしくは催眠が得意な女子高校生の格好をした吸血鬼の犯行と思われます。知らない人がたとえ女子高校生や子供だとしても我々人を騙すために吸血鬼がとっている手段かもしれません。女性の皆さんは事件に巻き込まれないためにも同じ性別だからと気を許さないでください。』
お母さん「最近若い子の間で吸血鬼化ってものが流行ってるらしいじゃない?結香も気をつけなさいよ」
結香「うん、大丈夫だよ。そんな流行私知らないし、心配しすぎだよ」
一条くんに言われてからそれまで以上に気を付けるようになった矢先に起きたこの事件
事件が起きた地域が家からは少し離れているけど、高校のある地域と重なっているから十分警戒しているつもり
毎日一人ずつ今日でちょうど4日目の日曜日
私の誕生日は今週の木曜日だからそれまでは気を張ってなくちゃ
〇 学校外・放課後(制服で寄り道中)
誕生日当日、気を張っていたけれど何も起きることはなく肩透かしをくらった
何もないことに越したことはないから安心できて、今日は友達2人と放課後、寄り道することになっている
私の誕生日を祝ってくれるらしくて断るに断れなかった
それに誰かと一緒なら狙われることもないって変に確信してた
友だち B 「ねぇ結香、もしこの後時間あるならついてきてほしい場所があるんだけど...」
カフェでケーキを食べてカラオケで歌いつくした帰り道
もう一人の友だちは彼と通話するからとすぐ帰ってしまった
まだ夕方だし、そこまで遅い時間でもないと判断した私は首を縦に振り、彼女について歩いた
足を止めたのはある家の前
友だち B 「ここ彼氏の家なんだよね」
結香「この前言ってた吸血鬼の?」
友だち B 「うん、そう。友だちを紹介したいって言ったら合鍵も渡してくれて、結香にも彼を紹介したいの。ダメかな?」
紹介したいだなんてちょっと嬉しいかも
友だちと吸血鬼の彼とが真剣にお付き合いをしているんだろうなと想像する
何も手土産がないけどいいのかなと言うとぼそりと何かつぶやいていた
(手土産なんて結香の血で十分だよ)
聞き取れなくて聞き返したけど『何でもないよ、早く行こう』と促されて彼氏さんの家にお邪魔した
〇 友だちの彼氏家・白を基調とした一室(彼氏さんの帰宅を待ち中)
友だち B 「連れてきたよ」
友だち B の彼氏の吸血鬼「来客用の椅子に座ってもらってて」
側にいると電話での会話が聞こえてしまって悪いから少し離れた
真っ白な部屋の机に置かれたグラスに注がれている赤いもの
もしかすると吸血鬼の彼に提供している友だちの血なのかもしれない
デリケートなことなはずだからみるのはよそう
丁度電話も終わったみたいだし彼女のもとへ
友だち B 「ごめんね結香、帰宅まで少しかかるみたい。」
結香「いいよいいよ、突然お邪魔しちゃったんだし」
2人でおしゃべりしていると玄関が開く音がした
部屋へ入ったその男性は、なんとスーツを着ていた
学生だと勝手に思っていたけれど彼女の彼氏の吸血鬼は社会人だったみたい
友だち B 「こちらは私が付き合っている吸血鬼の紅杜さん。彼女は私の友だちの結香。2人で談笑でもしてて?私、飲み物用意してくる」
友だち B の彼氏の吸血鬼「結香さんだっけ?いつも話は聞いてるよ。それに……特殊な血の持ち主なんだって、ね?」
結香「え?」
友だちの姿が見えなくなった途端雰囲気が豹変した彼氏さん
逃げようと椅子から立ち上がろうとしたけど力が入らずしりもちをついてしまった
友だち B の彼氏の吸血鬼「上手く力が入んねーだろ?」
そう言いながらじりじりと距離を詰めてくる
出口は彼の後ろ側
友だちが戻ってきたら少しは気が散るはずだからその時にスキをついてどうにか逃げればいい
友だち B 「戻りました。結香の血はどうですか?」
友だち B の彼氏の吸血鬼「飲み物に溶かした薬は効いてるが、お前の催眠効いてないぞ」
友だち B 「結香は何の疑いもなくついてきてくれるはずなので、催眠は使わないはずでは……」
私にはなんのことかさっぱり分からなかったけどこれだけは理解できた
友だちはあっち側だったってこと
今この家には見方が一人もいないってこと
どこからウソだったんだろう
友だちだと思ってたのは私だけだったのかな
そう思ったら涙が止まらなかった
(元)友だち B 「結香ごめんね。彼が言うことは絶対なの。だから彼のために血、分けてくれるよね?」
吸血鬼「あいつは俺にご執心でな、俺と一生を添い遂げる気でいたんだ。人間の一生なんて俺たちにはほんの一瞬でしかない替えの利くただの餌なのに、だ。吸血鬼にはそれぞれ一種類の個体特性と二種類の種族特性があるんだが種族の特性を使ってあいつを吸血化させ俺の配下にした。だからおれに逆らうことはできない。おかげで特殊な血の持ち主のあんたにも近づくことは簡単だった。恨むなら自分を恨みな」
そう言いながら私の服(首元だけ)を乱暴に破いた
一条くんに噛まれるときとは違う
恐怖で動けないし、何も反撃できない自分が嫌でたまらない
──バチン!
吸血鬼が私の首元に噛みつこうとしたその瞬間
大きな音がして吸血鬼がはじかれた
吸血鬼「な?!お前、始祖の......本家の者の契約者か」
(元)友だち B 「紅杜さん!大丈夫ですか?!」
吸血鬼「くそ、すぐに居場所が特定される。俺は終わりだ」
──ピンポーン
吸血鬼「ひぃ!」
さっきまでの勢いはどこへやら
ぶつぶつと何かを繰り返しつぶやくだけで何もしてこようとはしない
一条「花畑さん、大丈夫...じゃなさそうだね。怜鳳」
柊「はい。仰せのままに。」
一条「それじゃ後は頼む。花畑さんとそこのウチの生徒も早く行こう」
(元)友だち B 「嫌です!いくら生徒会長だからって人の家に不法侵入していい理由にはなっていません!紅杜さんをどうするつもりですか!!」
『そ。ならそこにいるといいよ』と言うや否や私を抱え、玄関へ向かいはじめた
友だちだった彼女が気になり、後ろを振り返ろうとするも一条くんに止められる
一条「彼女はただ操られていただけだから何もしない。片が付けば彼女も人に戻る。まぁ、専門のカウンセリングは必須になるけど」
結香「あの、吸血鬼の特性の話と私の血がどうのって言ってて。」
一条「帰ったらその話をしよう」
玄関を出てしばらく先、足に力が入らない私を気にしてタクシーを呼んでくれた一条くん
着いた先は、なんていうか、その、、、
言葉では言い表せないほどの豪邸だった
〇 一条家・客間(一条君と二人っきり)
一条「しばらくしないと薬は抜けないと思うから。きつかったら無理しないで言ってくれて構わない」
結香「ううん、大丈夫だよ。一条くんと柊くんが来てくれなかったらって想像したら......本当にありがとう。」
一条「まずはそれについて話そうか。俺たちがすぐに駆け付けれたわけ。」
続けて話をしてくれたのは吸血鬼の特性について
吸血鬼には、
①自身の血を分け与えることで同族にして仲間を増やすことができること
②眷属といって自身の忠実な僕を自身の血を分け与えることでつくれること
以上の2種類の種族的特性があると教えてくれた
一条「あとは個体特性のことだけど......俺の場合は対象者に保護をかけることができる。危険が及びそうな場合はその危険を遠ざけ、その保護が発動したときの察知ができるようになっている。これは吸血鬼によって違うんだ。」
結香「あっ、確かあの吸血鬼が俺の配下だったり、吸血鬼化、それに催眠とかって言ってたような?」
一条「あいつの手口だったか。でも大丈夫、もう今後は罪を犯すことはできない。だからもう寝たほうがいい」
そっと頭を撫でられ顔に熱が集中する
助けてくれた時もかっこよくて今も胸が高鳴り続けている
これってやっぱり恋なのかな
考えたって答えは出なくて
赤い顔をみられたくないから素直にうなずいた
どこかへ電話をかけた一条くんを最後に瞼は閉じていった
一条「そいつは記憶を操作しなくていい。本家にそのまま連れていけ。生徒の方だけ頼む。」