「えっと、突然…こんなこと言ったら困ると思いますが…」

 「先輩、彼女います?」

 問いかけに、先輩はえっという顔をした

 だろうね、こんなこと聞く人って…千尋先輩みたいな人しか無理だよね…

 ごめんなさい、と言う前に先輩が口を開いた

 「…それっぽい人はいるけど、なんで?」

 それっぽい人…??

 「なんですか?それっぽい人って…」

 疑問を口にする

 すると、先輩は考え込んだ

 「んー、なんだろうな…付き合ってはないんだ」

 「…幼馴染み」

 幼馴染み…

 私は、勇気を出して聞いた

 「あ、あの…渚 千尋先輩とは?」

 「あー、渚?渚とは、昔からの幼馴染みだよ」

 千尋先輩と、幼馴染み…

 あれ?ってことは…

 「…付き合ってるという噂は、嘘ですか?」

 「えっ、そんな噂流れてたの?」

 今初めて知った、と驚いていた

 「はい、…それで彼女はいるんですか?」

 「いないよ、なんで?」

 なんで、と言われましても…私にもわからないし

 「いえ、なんでもありません。では…!」

 なんか少し気まずいな、そう感じてその場を離れようとした時

 私の腕を先輩が掴んだ

 「せ、先輩…?」

 「ねぇ、君さ」

 「俺の部活に入部してよ」

 へ…、?