店に入って、すぐに後悔した。何故なら聞き覚えのある声が魔女を責めていたからだ。
「ちょっと! 一体どういうことなの!? 魔女! あんた……何かやったわね!?」
カレンの声だ! 咄嗟に柱の陰に隠れた。
「さぁ? 何のこと? 私にはさっぱり分からないけど」
「とぼけるんじゃないわよ! あんたの仕業じゃなければ、誰だって言うのよ!」
「キャアッ! な、何するのよ!」
魔女の切羽詰まった声が店内に響く。
彼女の中身はいくら大人だとしても、身体は子供。力でカレンに敵うはずはない。
私の妄想? の中で、魔女がカレンに腕を捻り上げられて、顔面をカウンターに押し付けられている光景が目に浮かぶ。
魔女は私の恩人……もう黙っていることは出来なかった。
「ちょっとカレン! 何をやっているの!」
柱の陰から飛び出し……私は一瞬固まった。
眼前には食べかけと思われるケーキの乗った皿を取り上げたカレンと、皿に手を伸ばしている魔女の姿があったからだ。
「え……?」
てっきり暴力行為を受けていると思ったのに、まさかカレンはケーキを取り上げただけだったの?
「ステラ!? 何でここに!?」
「あ! 丁度よい所へ来てくれたわね! この小娘から私のケーキを取り返してよ!」
カレンと魔女が同時に声をあげる。
「何だ……てっきり腕を捻り上げられて、カウンターにねじ伏せられていると思ったのに……ケーキを取り上げられただけだったのね」
安堵のため息をつくと二人から非難の声が上がる。
「ちょっと! 私はそこまで凶暴じゃないわよ!」
「ケーキを取り上げられたのだって一大事よ!」
私から見ればカレンは十分凶暴だし、たかがケーキを取られた位大した事ないと思うのだがここは黙っていることにした。
「フン……まぁいいわ。ステラがここに来たから、ケーキを返してやるわよ」
カレンはケーキの皿をカウンターに乗せ、不敵に笑うと一歩私に近づいた。
「ステラ、やっぱりあんたの仕業だったのね? あんたがこの魔女に頼んで私が周囲から嫌われるように何か小細工したわね? 正直に言いなさいよ! それにあんたが奪った私の男たちを返せ! このアバズレめ!」
もはや性格の悪さを隠そうともせずに、私を罵るカレン。
それに誰がアバズレだ? 私は前世でも、人の男に手など出したことはないのに。
「何故、カレンが周囲から嫌われてしまったのかなんて知らないわ。こっちが知りたいくらいよ。後、あなたの取り巻きたちを奪ってなんかいないわよ? もしそうだったら、今頃私は彼らにまとわりつかれていたんじゃないの?」
「うっ! そ、それは……」
言葉に詰まったのか、カレンは下唇を噛む。
「そうよ、そこの小娘。ステラはなーんにもしていないわ」
おやつのケーキを食べ終えたのか、魔女が口を挟んできた。
「何ですって!?」
カレンは魔女を睨みつけた。
「おお、怖い。魔女をそんな目で睨むなんて、いい度胸をしているわね。いい? あんたが周囲から嫌われたんじゃないの。元々あんたは嫌われていたでしょう? それで、私の所に来たんじゃないの。周囲から魅力的に感じられる存在になれるような薬はないかって。しかも自分の正体がバレるのが嫌だったか何だか知らないけど、変装した上に身元を偽って買いに来たわよね?」
「う……」
その言葉にカレンの顔色が青ざめる。
「それで、大金と引き換えにあんたに薬を渡したでしょう? それにしてもうまく化けたものねぇ? この魔女である私を騙したのだから。瞳の色も違うし、髪型だって全然違ったじゃないの? その声で思い出したわよ」
「う、うるさい! だっておかしいじゃない!! この世界のヒロインは私なのに、蔑ろにされるなんてありえないでしょう!!」
カレンはヒステリックに叫んだ――
「ちょっと! 一体どういうことなの!? 魔女! あんた……何かやったわね!?」
カレンの声だ! 咄嗟に柱の陰に隠れた。
「さぁ? 何のこと? 私にはさっぱり分からないけど」
「とぼけるんじゃないわよ! あんたの仕業じゃなければ、誰だって言うのよ!」
「キャアッ! な、何するのよ!」
魔女の切羽詰まった声が店内に響く。
彼女の中身はいくら大人だとしても、身体は子供。力でカレンに敵うはずはない。
私の妄想? の中で、魔女がカレンに腕を捻り上げられて、顔面をカウンターに押し付けられている光景が目に浮かぶ。
魔女は私の恩人……もう黙っていることは出来なかった。
「ちょっとカレン! 何をやっているの!」
柱の陰から飛び出し……私は一瞬固まった。
眼前には食べかけと思われるケーキの乗った皿を取り上げたカレンと、皿に手を伸ばしている魔女の姿があったからだ。
「え……?」
てっきり暴力行為を受けていると思ったのに、まさかカレンはケーキを取り上げただけだったの?
「ステラ!? 何でここに!?」
「あ! 丁度よい所へ来てくれたわね! この小娘から私のケーキを取り返してよ!」
カレンと魔女が同時に声をあげる。
「何だ……てっきり腕を捻り上げられて、カウンターにねじ伏せられていると思ったのに……ケーキを取り上げられただけだったのね」
安堵のため息をつくと二人から非難の声が上がる。
「ちょっと! 私はそこまで凶暴じゃないわよ!」
「ケーキを取り上げられたのだって一大事よ!」
私から見ればカレンは十分凶暴だし、たかがケーキを取られた位大した事ないと思うのだがここは黙っていることにした。
「フン……まぁいいわ。ステラがここに来たから、ケーキを返してやるわよ」
カレンはケーキの皿をカウンターに乗せ、不敵に笑うと一歩私に近づいた。
「ステラ、やっぱりあんたの仕業だったのね? あんたがこの魔女に頼んで私が周囲から嫌われるように何か小細工したわね? 正直に言いなさいよ! それにあんたが奪った私の男たちを返せ! このアバズレめ!」
もはや性格の悪さを隠そうともせずに、私を罵るカレン。
それに誰がアバズレだ? 私は前世でも、人の男に手など出したことはないのに。
「何故、カレンが周囲から嫌われてしまったのかなんて知らないわ。こっちが知りたいくらいよ。後、あなたの取り巻きたちを奪ってなんかいないわよ? もしそうだったら、今頃私は彼らにまとわりつかれていたんじゃないの?」
「うっ! そ、それは……」
言葉に詰まったのか、カレンは下唇を噛む。
「そうよ、そこの小娘。ステラはなーんにもしていないわ」
おやつのケーキを食べ終えたのか、魔女が口を挟んできた。
「何ですって!?」
カレンは魔女を睨みつけた。
「おお、怖い。魔女をそんな目で睨むなんて、いい度胸をしているわね。いい? あんたが周囲から嫌われたんじゃないの。元々あんたは嫌われていたでしょう? それで、私の所に来たんじゃないの。周囲から魅力的に感じられる存在になれるような薬はないかって。しかも自分の正体がバレるのが嫌だったか何だか知らないけど、変装した上に身元を偽って買いに来たわよね?」
「う……」
その言葉にカレンの顔色が青ざめる。
「それで、大金と引き換えにあんたに薬を渡したでしょう? それにしてもうまく化けたものねぇ? この魔女である私を騙したのだから。瞳の色も違うし、髪型だって全然違ったじゃないの? その声で思い出したわよ」
「う、うるさい! だっておかしいじゃない!! この世界のヒロインは私なのに、蔑ろにされるなんてありえないでしょう!!」
カレンはヒステリックに叫んだ――