――放課後
「ステラ。今夜、屋敷にお邪魔してもいいか?」
帰り支度をしていると、エドが尋ねてきた。
「え? 今夜ですか……? もしかして我が家で夕食でも食べたいとか?」
「違う! そんなことじゃない!」
力を込めて否定するエド。
「ふ〜ん……。別に構いませんけど、それでは何時頃にしましょうか?」
「そうだな……夕食は何時頃に終わる?」
「多分20時半には終わると思いますけど?」
「よし、分かった。20時半だな? ならその時間にお邪魔させてもらうよ。それじゃ早速帰ろうか?」
「あ、その前に私魔女のところに寄りたいのですけど」
彼女には散々世話になったので御礼を述べたい。それに、そろそろアレが無くなる頃かもしれないはずだ。……いや、もしかして既に無くなっているかも……。
「魔女の所へ寄りたいのか? そうだな……俺も今日のこと、色々聞きたいし……よし。一緒に行こう」
「そうですか? なら行きましょう」
もう今更、エドには何一つ隠し事をする必要は無いのだから別に構わないだろう。
そして、私達は一緒に魔女の店に向かった――
****
魔女の店の前に到着し、扉を開けようとしたとき。
「ちょっと待ってくれ、ステラ」
「どうかしたのですか?」
「うん……何だか様子がおかしいんだ」
「様子がおかしい……?」
「ああ、店の中で話し声が聞こえている」
「ええ!? エドは耳がいいんですね? よく建物の中の声が聞こえますね」
「まぁな。耳には自信があるんだ。だから盗み聞きなら俺に任せてくれ」
自信ありげに頷くエド。けれど盗み聞きなんて、あまり良い趣味とは思えない。
うん、きっとお願いすることはないだろう。
「でもエド、一応ここはお店なのですよ? 来店客かもしれないじゃないですか」
「あ……そう言えば、一応ここは店だったな。客が1人も来ないから店だということを忘れていた。だとしたら、別に怪しむことは無いか」
「そうですね。でも万一の事を考えてエドはここで待っていて貰えますか?」
「え? 何故だ?」
「だってエドは耳がいいんですよね? もし何か怪しい事があれば、大きな声を上げるので店内に飛び込んできてくださいよ」
「あぁ、なるほど。そういうことか。よし、任せてくれ」
けれど、そこでふと気付いた。そう言えば、エドって……一応、王子だったよね? いわゆるファンタジー小説に登場するような王子は2種類のタイプがある。
1つ目は剣術が得意で、戦場では率先して戦うタイプ。
2つ目は剣の訓練すら受けたことがない、誰かに守ってもらうのが当然のタイプ。
この2種類だ。
果たしてエドはどちらの部類に該当するのだろう?
じっとエドを見つめる。
「な、何だ? どうした? ステラ。中に入らないのか?」
「いえ、入りますけど……ところでエド。喧嘩はしたことありますか?」
「いや、無いな。俺は平和主義なんだ」
即答する。
確かに今朝だってカレンを前に、逃げるように去っていったし……。
彼に期待するのはやめにしよう。
「……なるほど」
「何だ? その間は。気になるじゃないか?」
「いいえ、お気になさらず。それじゃ、私だけ店に入るのでエドはここで待っていてください。すぐに用件は終わりますので」
「分かった、ここで待っているよ」
私はエドを店の前で待たせ、1人で店内へ足を踏み入れた――
「ステラ。今夜、屋敷にお邪魔してもいいか?」
帰り支度をしていると、エドが尋ねてきた。
「え? 今夜ですか……? もしかして我が家で夕食でも食べたいとか?」
「違う! そんなことじゃない!」
力を込めて否定するエド。
「ふ〜ん……。別に構いませんけど、それでは何時頃にしましょうか?」
「そうだな……夕食は何時頃に終わる?」
「多分20時半には終わると思いますけど?」
「よし、分かった。20時半だな? ならその時間にお邪魔させてもらうよ。それじゃ早速帰ろうか?」
「あ、その前に私魔女のところに寄りたいのですけど」
彼女には散々世話になったので御礼を述べたい。それに、そろそろアレが無くなる頃かもしれないはずだ。……いや、もしかして既に無くなっているかも……。
「魔女の所へ寄りたいのか? そうだな……俺も今日のこと、色々聞きたいし……よし。一緒に行こう」
「そうですか? なら行きましょう」
もう今更、エドには何一つ隠し事をする必要は無いのだから別に構わないだろう。
そして、私達は一緒に魔女の店に向かった――
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魔女の店の前に到着し、扉を開けようとしたとき。
「ちょっと待ってくれ、ステラ」
「どうかしたのですか?」
「うん……何だか様子がおかしいんだ」
「様子がおかしい……?」
「ああ、店の中で話し声が聞こえている」
「ええ!? エドは耳がいいんですね? よく建物の中の声が聞こえますね」
「まぁな。耳には自信があるんだ。だから盗み聞きなら俺に任せてくれ」
自信ありげに頷くエド。けれど盗み聞きなんて、あまり良い趣味とは思えない。
うん、きっとお願いすることはないだろう。
「でもエド、一応ここはお店なのですよ? 来店客かもしれないじゃないですか」
「あ……そう言えば、一応ここは店だったな。客が1人も来ないから店だということを忘れていた。だとしたら、別に怪しむことは無いか」
「そうですね。でも万一の事を考えてエドはここで待っていて貰えますか?」
「え? 何故だ?」
「だってエドは耳がいいんですよね? もし何か怪しい事があれば、大きな声を上げるので店内に飛び込んできてくださいよ」
「あぁ、なるほど。そういうことか。よし、任せてくれ」
けれど、そこでふと気付いた。そう言えば、エドって……一応、王子だったよね? いわゆるファンタジー小説に登場するような王子は2種類のタイプがある。
1つ目は剣術が得意で、戦場では率先して戦うタイプ。
2つ目は剣の訓練すら受けたことがない、誰かに守ってもらうのが当然のタイプ。
この2種類だ。
果たしてエドはどちらの部類に該当するのだろう?
じっとエドを見つめる。
「な、何だ? どうした? ステラ。中に入らないのか?」
「いえ、入りますけど……ところでエド。喧嘩はしたことありますか?」
「いや、無いな。俺は平和主義なんだ」
即答する。
確かに今朝だってカレンを前に、逃げるように去っていったし……。
彼に期待するのはやめにしよう。
「……なるほど」
「何だ? その間は。気になるじゃないか?」
「いいえ、お気になさらず。それじゃ、私だけ店に入るのでエドはここで待っていてください。すぐに用件は終わりますので」
「分かった、ここで待っているよ」
私はエドを店の前で待たせ、1人で店内へ足を踏み入れた――