エドと2人で大学へ到着すると、予想したとおりカレンが正門の前に笑顔で立っていた。
「エドワード様〜!」
背筋が寒くなるような甘ったるい声で、片手を大きく振りながらカレンは駆け寄り……ピタリと足を止めた。
どうやらエドの背後にいる私に気付いたようだが……すぐに、視線をそらせるとエドに笑顔を向けた。
「ゲ……」
ここで、エドは露骨に嫌そうな表情を浮かべる。
うわぁ……本当にカレンのことが苦手なんだ。しかしカレンはエドの表情に気付いているのかいないのか、笑顔で話しかけてきた。
「おはようございます、エドワード様。昨日のデートはとっても楽しかったです。また誘ってくださいね」
「そ、そうかい? 分かった。でも、または無いと思う。それじゃ、ステラ。教室へ行こう」
エドは、まるでここぞとばかりに私の手を繋ぎ(しかも互いの指を絡めあった、所謂恋人繋ぎ)をしてくると笑顔を向けてくる。
しかし、その目は『早くこの場を去ろう』と必死で訴えている。
「はぁ……」
仕方ない、ここはエドに合わせてあげよう。
頷き、カレンの側を通り抜けようとした時――
「ちょっと待ってくださらない!? ステラ様!!」
背後から突然大きな声でカレンが名指しで私を呼ぶ。
「ええ!? 私!?」
エドじゃなくて、なぜ私を呼び止める!?
「そうよ。ステラ様。2人だけで大事な話があります。いいでしょう? まだ最初の授業の時間までは27分あるわ。ここから教室まではおよそ5分。最高で20分は話せる余裕があります」
「どうするんだ? ステラ。カレンと話をするのか?」
エドが私に耳打ちしてくる。
「そこの2人っ! 距離が近いですよ! もっと離れて下さらない!?」
ビシッとカレンが私とエドを指さした。
その言葉で、私とエドはサッと離れる。
まぁ、どうせカレンの取り巻きたちの様子も知りたかったし……ここは彼女の話に付き合うとしよう。
「いいですよ、話をしましょうか? というわけで、エド。先に教室へ行っててください」
「だけど、ステラ……」
エドが私をじっと見つめてくる。もしかして私を心配しているのだろうか?
「本当に行っていいんだな? 後で、『この人で無し』とか文句言わないでくれよ?」
「はぁ? 言う訳ないじゃないですか! もう、いいから早く行って下さい!」
期待をしていた私が愚かだった。
「あ、ああ、分かった。それじゃ、また後で!」
そして、エドは足早に去って行った。
まぁ、カレンに狙われているのだから早々に立ち去りたい気持ちも分かる。
エドが去ると、直ぐにカレンが文句を言ってきた。
「ステラ様、一体どういうことですか? 昨日はエドワード様は私とデートをしたのですよ? それなのに、一緒に大学へ来るなんてどういうつもりなんですか?」
「どういうつもりも何も……エドが迎えに来てくれるから一緒に来ているだけですけど? それよりも人の婚約者を奪った人にそんなこと言われたくないのですけど」
するとカレンが不敵な笑みを浮かべた。
「あら? もしかして嫉妬ですか? でもそれはステラさんに問題があったからではありませんか? エイドリアンはいつも言っていたのですよ。あんな性格が悪い婚約者なんてうんざりだって。あの人のことが好きだったなら、もっと努力するべきだったのではありませんか?」
私は呆れて話を聞いていた。本物のステラではないから彼女の気持ちは分からない。けれど、惚れ薬を飲まされていたくらいだから絶対にステラがエイドリアンを好きだったとは思えない。
「はぁ……」
「何です? その気のない返事は? とにかく、馴れ馴れしくエドワード様に近づかないで下さい!」
どこまでも強気な態度を取るカレン。
そこで私は逆に彼女を問い詰めることにした。
「ところで、カレンさん。いつもの取り巻きの男性たちはどうしたのですか?」
「うっ!」
すると、私の言葉にカレンの顔が青ざめた――
「エドワード様〜!」
背筋が寒くなるような甘ったるい声で、片手を大きく振りながらカレンは駆け寄り……ピタリと足を止めた。
どうやらエドの背後にいる私に気付いたようだが……すぐに、視線をそらせるとエドに笑顔を向けた。
「ゲ……」
ここで、エドは露骨に嫌そうな表情を浮かべる。
うわぁ……本当にカレンのことが苦手なんだ。しかしカレンはエドの表情に気付いているのかいないのか、笑顔で話しかけてきた。
「おはようございます、エドワード様。昨日のデートはとっても楽しかったです。また誘ってくださいね」
「そ、そうかい? 分かった。でも、または無いと思う。それじゃ、ステラ。教室へ行こう」
エドは、まるでここぞとばかりに私の手を繋ぎ(しかも互いの指を絡めあった、所謂恋人繋ぎ)をしてくると笑顔を向けてくる。
しかし、その目は『早くこの場を去ろう』と必死で訴えている。
「はぁ……」
仕方ない、ここはエドに合わせてあげよう。
頷き、カレンの側を通り抜けようとした時――
「ちょっと待ってくださらない!? ステラ様!!」
背後から突然大きな声でカレンが名指しで私を呼ぶ。
「ええ!? 私!?」
エドじゃなくて、なぜ私を呼び止める!?
「そうよ。ステラ様。2人だけで大事な話があります。いいでしょう? まだ最初の授業の時間までは27分あるわ。ここから教室まではおよそ5分。最高で20分は話せる余裕があります」
「どうするんだ? ステラ。カレンと話をするのか?」
エドが私に耳打ちしてくる。
「そこの2人っ! 距離が近いですよ! もっと離れて下さらない!?」
ビシッとカレンが私とエドを指さした。
その言葉で、私とエドはサッと離れる。
まぁ、どうせカレンの取り巻きたちの様子も知りたかったし……ここは彼女の話に付き合うとしよう。
「いいですよ、話をしましょうか? というわけで、エド。先に教室へ行っててください」
「だけど、ステラ……」
エドが私をじっと見つめてくる。もしかして私を心配しているのだろうか?
「本当に行っていいんだな? 後で、『この人で無し』とか文句言わないでくれよ?」
「はぁ? 言う訳ないじゃないですか! もう、いいから早く行って下さい!」
期待をしていた私が愚かだった。
「あ、ああ、分かった。それじゃ、また後で!」
そして、エドは足早に去って行った。
まぁ、カレンに狙われているのだから早々に立ち去りたい気持ちも分かる。
エドが去ると、直ぐにカレンが文句を言ってきた。
「ステラ様、一体どういうことですか? 昨日はエドワード様は私とデートをしたのですよ? それなのに、一緒に大学へ来るなんてどういうつもりなんですか?」
「どういうつもりも何も……エドが迎えに来てくれるから一緒に来ているだけですけど? それよりも人の婚約者を奪った人にそんなこと言われたくないのですけど」
するとカレンが不敵な笑みを浮かべた。
「あら? もしかして嫉妬ですか? でもそれはステラさんに問題があったからではありませんか? エイドリアンはいつも言っていたのですよ。あんな性格が悪い婚約者なんてうんざりだって。あの人のことが好きだったなら、もっと努力するべきだったのではありませんか?」
私は呆れて話を聞いていた。本物のステラではないから彼女の気持ちは分からない。けれど、惚れ薬を飲まされていたくらいだから絶対にステラがエイドリアンを好きだったとは思えない。
「はぁ……」
「何です? その気のない返事は? とにかく、馴れ馴れしくエドワード様に近づかないで下さい!」
どこまでも強気な態度を取るカレン。
そこで私は逆に彼女を問い詰めることにした。
「ところで、カレンさん。いつもの取り巻きの男性たちはどうしたのですか?」
「うっ!」
すると、私の言葉にカレンの顔が青ざめた――