――翌朝
ベッドの上で伸びをしながら、私は今日の戦利品を眺めた。
今回あの部屋から持参したのは、ポン菓子5袋。それにポテチ3袋、それにスマホのポータブル充電器(充電済み)。
充電器は、勿論魔女に持っていってあげるためだ。
私は早速戦利品を布のバッグに入れると、朝の準備を始めた――
**
「ところでステラ。実は面白い話があるのだが、聞いてみたくはないか?」
朝食の席で、突然父が突拍子もないことを尋ねてきた。
「面白い話ですか……? はい、聞かせて下さい」
一体、どんな話なのだろう?
「あ、その話ね? 本当にあれは傑作だったわ」
一緒にテーブルに着いていた母が嬉しそうに笑う。
「お母様は、もう知っているのですか?」
「ええ、昨夜教えてもらったの。あなた、ほら教えてあげなさいよ」
母に促され、父は頷くと話し始めた。
「ステラ、この間我が家にロンド伯爵とエイドリアンが来ただろう?」
「ええ、そうですね」
あれは傑作だった。二人共、惚れ薬を飲ませた途端に鏡の前から離れられなくなってしまったのだから。
「ロンド伯爵はあの日以来、引きこもりになってしまったそうだ」
「え!? 引きこもり?」
「そうなのだよ。彼の会社の従業員が私のもとを訪ねてきたのだよ。社長はもう家から一歩も出ることができなくなって、使い物にならなくなってしまったので社長交代したとね」
「少しも知りませんでした」
「まぁ、知らないのも無理はないだろう。しかもエイドリアンも引きこもりになってしまったそうだぞ? 2人とも、大きな姿見の前から離れられなくなったらしい」
「食事中も鏡を見ているそうじゃない? これでは、夫人も参ってしまうわよね」
母は何だか、とても嬉しそうに見える。
「アハハハ……なるほど……」
恐るべし、魔女の作った惚れ薬。
まさか引きこもりになるほど、自分に惚れてしまうとは。でも、これであの2人に対する復讐は終わった。
この様子では例の3人も同じ状況になっているかもしれない。
そんなことを考ながら食事をしていると母が尋ねたきた。
「そう言えばステラ、今朝はエド様はお見えになるのかしら? 昨日は一緒に帰って来なかったようだけど」
「何、そうだったのか? 昨夜の食事の席ではそんな話は一度も出なかったではないか」
父が母の話しに素早く反応する。
「ええ、聞いてはいけないような気がしたのよ。それで、どうなのかしら?」
「さぁ……? 昨日は一緒に帰っていないので、今日は迎えに来るかどうか分かりませんけど?」
「何故、一緒に帰っていないのだ?」
父が尋ねてくる。
「ええ、それは昨日エドは別の女性とデートしたからですよ」
「何だと!?」
「ステラ!! それは本当の話なの!?」
突然父と母が声を荒げる。
「え? ええ……そうですけど。でも何故そんなに驚くのですか?」
エドが何処の誰と付き合おうが両親には全く関係ない話だと思っていたのに。
「それは驚くに決まっているだろう!?」
「ええ、そうよ! 責任は取るとエド様は約束してくれたはずよね!?」
興奮を顕にする父と母。
そこへ、メイドが現れた。
「お食事の最中、失礼致します。ステラ様、エド様がお迎えにいらっしゃいました。いかがいたしましょう?」
「え? もう来たの?」
今日はいつもより30分は早い。けれど、色々聞きたいことがあった私には丁度良かった。
「では、お父様、お母様。大学に行ってきますね」
立ち上がって声をかけると、何故か両親が立ち上がった。
「我々も行こう!」
「そうよね、あなた」
「は、はぁ……では3人で行きましょうか?」
別に断る理由も無い。
こうして私は両親を連れて、エドの待つエントランスへ向かった――
ベッドの上で伸びをしながら、私は今日の戦利品を眺めた。
今回あの部屋から持参したのは、ポン菓子5袋。それにポテチ3袋、それにスマホのポータブル充電器(充電済み)。
充電器は、勿論魔女に持っていってあげるためだ。
私は早速戦利品を布のバッグに入れると、朝の準備を始めた――
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「ところでステラ。実は面白い話があるのだが、聞いてみたくはないか?」
朝食の席で、突然父が突拍子もないことを尋ねてきた。
「面白い話ですか……? はい、聞かせて下さい」
一体、どんな話なのだろう?
「あ、その話ね? 本当にあれは傑作だったわ」
一緒にテーブルに着いていた母が嬉しそうに笑う。
「お母様は、もう知っているのですか?」
「ええ、昨夜教えてもらったの。あなた、ほら教えてあげなさいよ」
母に促され、父は頷くと話し始めた。
「ステラ、この間我が家にロンド伯爵とエイドリアンが来ただろう?」
「ええ、そうですね」
あれは傑作だった。二人共、惚れ薬を飲ませた途端に鏡の前から離れられなくなってしまったのだから。
「ロンド伯爵はあの日以来、引きこもりになってしまったそうだ」
「え!? 引きこもり?」
「そうなのだよ。彼の会社の従業員が私のもとを訪ねてきたのだよ。社長はもう家から一歩も出ることができなくなって、使い物にならなくなってしまったので社長交代したとね」
「少しも知りませんでした」
「まぁ、知らないのも無理はないだろう。しかもエイドリアンも引きこもりになってしまったそうだぞ? 2人とも、大きな姿見の前から離れられなくなったらしい」
「食事中も鏡を見ているそうじゃない? これでは、夫人も参ってしまうわよね」
母は何だか、とても嬉しそうに見える。
「アハハハ……なるほど……」
恐るべし、魔女の作った惚れ薬。
まさか引きこもりになるほど、自分に惚れてしまうとは。でも、これであの2人に対する復讐は終わった。
この様子では例の3人も同じ状況になっているかもしれない。
そんなことを考ながら食事をしていると母が尋ねたきた。
「そう言えばステラ、今朝はエド様はお見えになるのかしら? 昨日は一緒に帰って来なかったようだけど」
「何、そうだったのか? 昨夜の食事の席ではそんな話は一度も出なかったではないか」
父が母の話しに素早く反応する。
「ええ、聞いてはいけないような気がしたのよ。それで、どうなのかしら?」
「さぁ……? 昨日は一緒に帰っていないので、今日は迎えに来るかどうか分かりませんけど?」
「何故、一緒に帰っていないのだ?」
父が尋ねてくる。
「ええ、それは昨日エドは別の女性とデートしたからですよ」
「何だと!?」
「ステラ!! それは本当の話なの!?」
突然父と母が声を荒げる。
「え? ええ……そうですけど。でも何故そんなに驚くのですか?」
エドが何処の誰と付き合おうが両親には全く関係ない話だと思っていたのに。
「それは驚くに決まっているだろう!?」
「ええ、そうよ! 責任は取るとエド様は約束してくれたはずよね!?」
興奮を顕にする父と母。
そこへ、メイドが現れた。
「お食事の最中、失礼致します。ステラ様、エド様がお迎えにいらっしゃいました。いかがいたしましょう?」
「え? もう来たの?」
今日はいつもより30分は早い。けれど、色々聞きたいことがあった私には丁度良かった。
「では、お父様、お母様。大学に行ってきますね」
立ち上がって声をかけると、何故か両親が立ち上がった。
「我々も行こう!」
「そうよね、あなた」
「は、はぁ……では3人で行きましょうか?」
別に断る理由も無い。
こうして私は両親を連れて、エドの待つエントランスへ向かった――