1時限目の講義開始時間ギリギリに教室に滑り込むと、いつもの席にエドがいない。
「あれ? エドは一体……?」
とりあえず一番後ろの空いている席に座って教室を見渡して納得した。
「ははぁ~ん……なるほどね」
頬杖を付き、見つめた先には一番前の席に隣同士で座るカレンとエドの姿がある。
その2人の後ろに、カレンの取り巻き男3人衆が座っている。
恐らく、後ろの席に追いやられたのだろう。
ここからではカレンの表情もエドの表情も見ることが出来ない。けれどきっとカレンは満面の笑みを浮かべ、一方のエドはうんざりした表情を浮かべているに違いない。
「この分だと、きっと私の思惑通りに事が運びそうね……」
私は鼻歌を歌いながら、授業の準備を始めた――
****
1時限目の授業の合間、ずっとカレンはエドにベタベタしっぱなしだった。
エドにしなだれかかったり、腕を絡めてきたり……。それを一番前の目立つ席でやっているのだから、当然目立つ。
大学構内では、すっかり私とエドは公認の中になっていたようで学生たちは授業そっちのけで、私とカレン、エドの話で静かに盛り上がっていた。
「やっぱり、あの悪女は王子から捨てられたんじゃないのか?」
「だけど、カレンに取られるのは嫌だわ」
「エドワード様はどちらが本命なのかしら……」
ヒソヒソ話しているのだろうが、大勢で話せば、もはや騒めき状態だった。講義をしている教授は「うるさい」と抗議したいのだろうが、黙認したまま授業を進めている。
……多分恐らくは誰も話を聞いてはいないだろうけれど。
何しろ騒ぎの中心になっているのは、王族であるエドなのだから文句を言うこともできないのだ。
「ふっふっふっ……きっと今日は1日中、カレンはエドにべったりに決まってる。多分、そうなると彼らも黙っていないでしょうね……」
一番後ろの席で呟きながら、私は次のターゲットたちの背中をじっと見つめるのだった――
****
1時限目の講義終了のチャイムが教室中に鳴り響き、学生たちはぞろぞろと次の教室へ移動していく。
ゆっくり後片付けをしながら一番後ろの席でその様子を伺っていると案の定、カレンはエドの腕を取って教室から出て行く姿が見えた。
よしよし。
満足した私は頷きながらカバンを持って立ち上がろうとした時、不意に視界が暗くなった。
「?」
訝しんで見上げると、カレンの取り巻き男3人衆が恨みの込められた目で私を睨みつけていた。
「ステラ、一体どういうつもりなんだ?」
「何故エドワード王子がカレンをデートに誘う?」
「お前は、王子の恋人じゃ無かったのかよ!」
取り巻き3人衆(名前が良く分からないので、敢えてそう呼ばせてもらう)は理不尽な怒りを私にぶつけてくる。
本来なら、彼らに「私に怒りをぶつけてくるのはお門違いだ」とでも言える立場にあるがこれは私の作戦だ。
カレンからこの3人を引きはがすことが私の目的なのだから。
「皆、わざわざ私の元へ集まってくれてありがとう」
「「「え?」」」
戸惑う彼らの前でポケットから小瓶を取り出すと、私は蓋を開けた――
「あれ? エドは一体……?」
とりあえず一番後ろの空いている席に座って教室を見渡して納得した。
「ははぁ~ん……なるほどね」
頬杖を付き、見つめた先には一番前の席に隣同士で座るカレンとエドの姿がある。
その2人の後ろに、カレンの取り巻き男3人衆が座っている。
恐らく、後ろの席に追いやられたのだろう。
ここからではカレンの表情もエドの表情も見ることが出来ない。けれどきっとカレンは満面の笑みを浮かべ、一方のエドはうんざりした表情を浮かべているに違いない。
「この分だと、きっと私の思惑通りに事が運びそうね……」
私は鼻歌を歌いながら、授業の準備を始めた――
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1時限目の授業の合間、ずっとカレンはエドにベタベタしっぱなしだった。
エドにしなだれかかったり、腕を絡めてきたり……。それを一番前の目立つ席でやっているのだから、当然目立つ。
大学構内では、すっかり私とエドは公認の中になっていたようで学生たちは授業そっちのけで、私とカレン、エドの話で静かに盛り上がっていた。
「やっぱり、あの悪女は王子から捨てられたんじゃないのか?」
「だけど、カレンに取られるのは嫌だわ」
「エドワード様はどちらが本命なのかしら……」
ヒソヒソ話しているのだろうが、大勢で話せば、もはや騒めき状態だった。講義をしている教授は「うるさい」と抗議したいのだろうが、黙認したまま授業を進めている。
……多分恐らくは誰も話を聞いてはいないだろうけれど。
何しろ騒ぎの中心になっているのは、王族であるエドなのだから文句を言うこともできないのだ。
「ふっふっふっ……きっと今日は1日中、カレンはエドにべったりに決まってる。多分、そうなると彼らも黙っていないでしょうね……」
一番後ろの席で呟きながら、私は次のターゲットたちの背中をじっと見つめるのだった――
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1時限目の講義終了のチャイムが教室中に鳴り響き、学生たちはぞろぞろと次の教室へ移動していく。
ゆっくり後片付けをしながら一番後ろの席でその様子を伺っていると案の定、カレンはエドの腕を取って教室から出て行く姿が見えた。
よしよし。
満足した私は頷きながらカバンを持って立ち上がろうとした時、不意に視界が暗くなった。
「?」
訝しんで見上げると、カレンの取り巻き男3人衆が恨みの込められた目で私を睨みつけていた。
「ステラ、一体どういうつもりなんだ?」
「何故エドワード王子がカレンをデートに誘う?」
「お前は、王子の恋人じゃ無かったのかよ!」
取り巻き3人衆(名前が良く分からないので、敢えてそう呼ばせてもらう)は理不尽な怒りを私にぶつけてくる。
本来なら、彼らに「私に怒りをぶつけてくるのはお門違いだ」とでも言える立場にあるがこれは私の作戦だ。
カレンからこの3人を引きはがすことが私の目的なのだから。
「皆、わざわざ私の元へ集まってくれてありがとう」
「「「え?」」」
戸惑う彼らの前でポケットから小瓶を取り出すと、私は蓋を開けた――