「……なるほど、つまりステラがこの部屋で眠れば、また同じ場所に戻れるというわけだな?」
「ええ。そのとおりです」
「よし、分かった。なら早速寝てくれ。一刻も早くこの不快な場所から脱出しよう」
不快な場所……? その言葉にイラッとくる。
「エド、先程から随分失礼なことを言っているとは思いませんか? 仮にもこの部屋に私は2年住んでいたのですよ?」
「え!? 2年もこんな狭い場所で暮らしていたのか……ありえない。俺だったらきっと発狂していたに違いない」
「発狂? これはまた随分なことを言ってくれますね? でも……まぁ、仕方ないですね。仮にもエドは王子様なのですから、さぞかし広い部屋に住んでいるのでしょうね」
「まぁ、王子と言っても、6番目だけどな」
「とにかく、もう少しだけ我慢して下さい。これから食料調達をしなければいけないのですから」
私は早速食べ物が保管してあるキッチンへ向かった。
「食糧調達……? あ! まさか……」
エドがあとからついてきた。
「ええ。そうです。エドが今まで食べていた食糧は全て、この部屋から調達していました」
「そうだったのか! よし、俺も手伝う。根こそぎ食糧を持っていこう!」
ドサクサに紛れて、とんでもない台詞を口にするエド。
「根こそぎ!? 何言ってくれちゃってるんですか! 根こそぎなんて持っていかせませんからね!」
「まぁまぁ、固いこと言うなって……あ! 何だこれ……美味しそうだなぁ」
エドが私の後ろから手を伸ばし、塩せんべいの袋を手に取った。
「あぁ! そ、それは私の一推しの塩せんべい……! 駄目です! これは私のです! 絶対に誰にもあげませんから!」
「いいじゃないか。今の口ぶりならステラは過去に食べたことがあるってことだろう? 俺は一度も食べたことが無いんだからさ。それに、今日元婚約者に復讐出来たのは……俺のおかげでもあるわけだろう?」
「うっ! そ、それは……」
確かにエドの助けが無ければ、私は魔女に会えなかったし、復讐も成し遂げられなかっただろう。
「分かりましたよ……いいですよ、どうぞ召し上がって下さい」
「そうか、ありがとう。それじゃ、とりあえずこの箱の中の物は全て持ち帰ろう。俺も手伝うよ」
「ええ、そうですね……荷造りしたら、とっとと元の世界に戻りましょう。こんな狭い部屋、いつまでもいたくないですよね?」
早く、元の世界に戻らなければ……隠していた他の菓子類まで見つけられてしまうかもしれない!
「まぁ、それはそうなんだが……しかし、見れば見るほど不思議な物がたくさんあるなぁ……」
エドは台所に置かれた冷蔵庫や、炊飯器を興味津々で眺めている。まぁ、確かにこれらの文明機器は、あの世界には無いものばかりなので無理もない話だろう。
エコバックに段ボールの中身を全て詰め込むと、エドに声をかけた。
「さ、では元の世界に戻りましょう。エド」
「そうだな。それで戻る方法は……?」
「勿論、また寝ることです!」
「そうか……やっぱりそうなるのか……」
こうして私達は狭いベッドの上に無理やり二人並んで寝ると、手をしっかり繋いだ。
「……結局、この方法しか戻る方法が無いのか……」
隣で横たわるエドが溜め息をつく。
「仕方ないじゃないですか。とにかく話しかけないでくださいね。眠れませんから」
「……こんな状況でよく眠れるよ……」
「……」
私は寝たフリをして返事をしなかった。
結局、今回もエドのほうが先に眠りについたのは……言うまでもない――
「ええ。そのとおりです」
「よし、分かった。なら早速寝てくれ。一刻も早くこの不快な場所から脱出しよう」
不快な場所……? その言葉にイラッとくる。
「エド、先程から随分失礼なことを言っているとは思いませんか? 仮にもこの部屋に私は2年住んでいたのですよ?」
「え!? 2年もこんな狭い場所で暮らしていたのか……ありえない。俺だったらきっと発狂していたに違いない」
「発狂? これはまた随分なことを言ってくれますね? でも……まぁ、仕方ないですね。仮にもエドは王子様なのですから、さぞかし広い部屋に住んでいるのでしょうね」
「まぁ、王子と言っても、6番目だけどな」
「とにかく、もう少しだけ我慢して下さい。これから食料調達をしなければいけないのですから」
私は早速食べ物が保管してあるキッチンへ向かった。
「食糧調達……? あ! まさか……」
エドがあとからついてきた。
「ええ。そうです。エドが今まで食べていた食糧は全て、この部屋から調達していました」
「そうだったのか! よし、俺も手伝う。根こそぎ食糧を持っていこう!」
ドサクサに紛れて、とんでもない台詞を口にするエド。
「根こそぎ!? 何言ってくれちゃってるんですか! 根こそぎなんて持っていかせませんからね!」
「まぁまぁ、固いこと言うなって……あ! 何だこれ……美味しそうだなぁ」
エドが私の後ろから手を伸ばし、塩せんべいの袋を手に取った。
「あぁ! そ、それは私の一推しの塩せんべい……! 駄目です! これは私のです! 絶対に誰にもあげませんから!」
「いいじゃないか。今の口ぶりならステラは過去に食べたことがあるってことだろう? 俺は一度も食べたことが無いんだからさ。それに、今日元婚約者に復讐出来たのは……俺のおかげでもあるわけだろう?」
「うっ! そ、それは……」
確かにエドの助けが無ければ、私は魔女に会えなかったし、復讐も成し遂げられなかっただろう。
「分かりましたよ……いいですよ、どうぞ召し上がって下さい」
「そうか、ありがとう。それじゃ、とりあえずこの箱の中の物は全て持ち帰ろう。俺も手伝うよ」
「ええ、そうですね……荷造りしたら、とっとと元の世界に戻りましょう。こんな狭い部屋、いつまでもいたくないですよね?」
早く、元の世界に戻らなければ……隠していた他の菓子類まで見つけられてしまうかもしれない!
「まぁ、それはそうなんだが……しかし、見れば見るほど不思議な物がたくさんあるなぁ……」
エドは台所に置かれた冷蔵庫や、炊飯器を興味津々で眺めている。まぁ、確かにこれらの文明機器は、あの世界には無いものばかりなので無理もない話だろう。
エコバックに段ボールの中身を全て詰め込むと、エドに声をかけた。
「さ、では元の世界に戻りましょう。エド」
「そうだな。それで戻る方法は……?」
「勿論、また寝ることです!」
「そうか……やっぱりそうなるのか……」
こうして私達は狭いベッドの上に無理やり二人並んで寝ると、手をしっかり繋いだ。
「……結局、この方法しか戻る方法が無いのか……」
隣で横たわるエドが溜め息をつく。
「仕方ないじゃないですか。とにかく話しかけないでくださいね。眠れませんから」
「……こんな状況でよく眠れるよ……」
「……」
私は寝たフリをして返事をしなかった。
結局、今回もエドのほうが先に眠りについたのは……言うまでもない――