「み、見届けるって……一体何を見届けるんだ?」
珍しく動揺を見せるエド。
「え? ですから、今から私はベッドで寝ます。その様子をエドに見届けていてもらいたいのです」
「……見届けるだけでいいのか?」
「ええ、そうですけど?」
何故か今日に限って、しつこく尋ねてくる。
「一緒に寝なくてもいいのか?」
「え? 寝る……?」
エドの言葉に少し考えてみる。
実は私はある仮説を立てていた。
今までは夢の世界で私は自室から食べ物や必要な物品を運び出していると思っていた。
だが、よくよく考えてみると夢の世界から現実世界に物を運び出すなんて不可能。
そこで次に第二の仮説を立てた。
それは眠りについた途端、私の身体が不可解な世界に転移するという仮説だ。
眠るという行為がスイッチとなり、この世界と不可解な世界を行き来する。
なので、元コンビニ店員に寝てもらうように頼んだのだ。
彼が眠ったと同時に、眼の前から姿が消えてしまうのではないかと踏んでいたのだが……。
「ステラ……? ステラッ!」
そこで初めてエドに呼びかけられていることに気付いた。
「あ、すみません。少し考え込んでいましたので」
「え!? か、考え込むほどのことだったのか!? ま、参ったな……」
何故か困った表情を浮かべるエド。
「別にいいですよ、一緒に寝ても」
検証するために彼に付き合ってもらうのもありかもしれない。
「え!? ほ、本気で言ってるのか!? 本気で俺と寝るつもりなのか!?」
エドはいちいち大げさに驚いている。何をそんなに驚くのだろう?
「ええ、でも今はまだその時ではありませんね」
「い、今はまだって……??」
「はい、なのでとりあえず、私が寝るのを見届けて下さい。あ、お暇でしたらそのポテチを食べていても構いませんので」
「ポテチ……? ポテチって、これのことか!?」
エドは自分のもっているポテチを指差す。
「はい、そうです。それでもし、眠っている私に異変が生じた場合……」
「い、異変が生じる!? 一体どんな!?」
いちいち大げさに尋ねるエド。
「どんな……?」
そこまで口にして考えてみた。
仮説が正しければ、私は眠りにつくと同時に身体が異次元に転移されてベッドの上から消えるはず。
そうなると、エドには対処出来なくなってしまうだろう。多分取り乱して大騒ぎをするに決まっている。
「ステラ、何故そこで考え込むんだよ? 俺を不安にさせて楽しんでるのか?」
「いえ。別に不安にさせているわけではありませんが……そうですね。どんな異変があるのか、そもそも異変が起きるかも分かりません。でも万一のときは……」
「万一のときは?」
ゴクリと息を呑むエド。
「とりあえず落ち着いて、何もしないで下さい」
「……は?」
「慌てず、騒がず。静かに成り行きを見守っていて下さい。誰にも報告もせずにですよ?」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ……ステラ……」
「しっ! 静かにしていてください。今から私は寝るので」
私はベッドの上によじ登ると、ゴロリと横になった。
「いいですか? 夜までもうあまり時間がありません。とりあえず、お休みなさい」
「お休みって……ほんっとうに寝るつもりなのか!? こんな状況で何の説明もなしに!?」
「ええ、そうです。……と言うか、話しかけないで貰えますか? これでは眠れません」
そして私はエドに背を向けると、頭の中で羊を数え始めた――
珍しく動揺を見せるエド。
「え? ですから、今から私はベッドで寝ます。その様子をエドに見届けていてもらいたいのです」
「……見届けるだけでいいのか?」
「ええ、そうですけど?」
何故か今日に限って、しつこく尋ねてくる。
「一緒に寝なくてもいいのか?」
「え? 寝る……?」
エドの言葉に少し考えてみる。
実は私はある仮説を立てていた。
今までは夢の世界で私は自室から食べ物や必要な物品を運び出していると思っていた。
だが、よくよく考えてみると夢の世界から現実世界に物を運び出すなんて不可能。
そこで次に第二の仮説を立てた。
それは眠りについた途端、私の身体が不可解な世界に転移するという仮説だ。
眠るという行為がスイッチとなり、この世界と不可解な世界を行き来する。
なので、元コンビニ店員に寝てもらうように頼んだのだ。
彼が眠ったと同時に、眼の前から姿が消えてしまうのではないかと踏んでいたのだが……。
「ステラ……? ステラッ!」
そこで初めてエドに呼びかけられていることに気付いた。
「あ、すみません。少し考え込んでいましたので」
「え!? か、考え込むほどのことだったのか!? ま、参ったな……」
何故か困った表情を浮かべるエド。
「別にいいですよ、一緒に寝ても」
検証するために彼に付き合ってもらうのもありかもしれない。
「え!? ほ、本気で言ってるのか!? 本気で俺と寝るつもりなのか!?」
エドはいちいち大げさに驚いている。何をそんなに驚くのだろう?
「ええ、でも今はまだその時ではありませんね」
「い、今はまだって……??」
「はい、なのでとりあえず、私が寝るのを見届けて下さい。あ、お暇でしたらそのポテチを食べていても構いませんので」
「ポテチ……? ポテチって、これのことか!?」
エドは自分のもっているポテチを指差す。
「はい、そうです。それでもし、眠っている私に異変が生じた場合……」
「い、異変が生じる!? 一体どんな!?」
いちいち大げさに尋ねるエド。
「どんな……?」
そこまで口にして考えてみた。
仮説が正しければ、私は眠りにつくと同時に身体が異次元に転移されてベッドの上から消えるはず。
そうなると、エドには対処出来なくなってしまうだろう。多分取り乱して大騒ぎをするに決まっている。
「ステラ、何故そこで考え込むんだよ? 俺を不安にさせて楽しんでるのか?」
「いえ。別に不安にさせているわけではありませんが……そうですね。どんな異変があるのか、そもそも異変が起きるかも分かりません。でも万一のときは……」
「万一のときは?」
ゴクリと息を呑むエド。
「とりあえず落ち着いて、何もしないで下さい」
「……は?」
「慌てず、騒がず。静かに成り行きを見守っていて下さい。誰にも報告もせずにですよ?」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ……ステラ……」
「しっ! 静かにしていてください。今から私は寝るので」
私はベッドの上によじ登ると、ゴロリと横になった。
「いいですか? 夜までもうあまり時間がありません。とりあえず、お休みなさい」
「お休みって……ほんっとうに寝るつもりなのか!? こんな状況で何の説明もなしに!?」
「ええ、そうです。……と言うか、話しかけないで貰えますか? これでは眠れません」
そして私はエドに背を向けると、頭の中で羊を数え始めた――