あの後、場所を移動した私達は人があまり来ないような旧校舎の裏庭のベンチに来ていた。
勿論ここはエドが教えてくれた場所で、この大学に留学してきた早々女子学生たちに追い回されて逃げてきた避難場所らしい。
「さ、ここなら恐らく誰も来ることはない。教えてくれ、ステラの……不思議な食べ物の理由を!」
真顔で私を見つめてくるエド。あ〜……結局、行き着くところはソコなのね。
「はいはい……分かりましたよ……」
ついに、観念して私は自分の情報を全て話すことにした――
「……というわけです。信じてくれました?」
私の話している間、一言も口を利かずに話を聞いていたエドに尋ねてみた。
「ああ、信じる。信じるに決まっているだろう」
「嘘! 即答ですか!? 健忘症だとか、頭のイカれた人物だとかは思わないんですか?」
「思うはず無いだろう? 何しろステラが用意してくれた食べ物はどれも今まで一度も食したことがないものばかりだった。これでも俺は国にいた頃は『グルメ王子』という呼び名がついていて、ありとあらゆる国の料理を口にしてきた。だがしかし!」
ビシッと私を指差すエド。
「ステラが俺の為に用意してくれた食べ物は全て未知のものだった。しかも美味! これはもう異世界からやってきた存在だという確たる証拠だ!」
別にエドの為に用意していたわけではないけれど……。
「エド……私の話を信じてくれるんですね? 両親でさえ、頭がおかしくなったと言って医者を呼び集めたほどなのに……」
まさか信じてくれるとは思わず、感動する私。
「勿論だ。世界中の誰もがステラの話を疑っても、俺は信じるぞ。だからステラ……」
突然私の両肩をガシッと掴み、じっと顔を覗きこんで来るエド。
「な、な、何ですか……?」
不覚にも? トキメキを感じながら返事をする。
「また、ニホンの食べ物を食べさせてくれ。俺はどこまでもステラと共にあるからな?」
「あ〜……そうですか。ありがとうございます」
やっぱり、行き着く先はそこだったか……。
「よし、それじゃステラからの情報も得たことだし……その怪しいビンセント教授の所へ早速行こう」
エドは私の手を握りしめると立ち上がった。
****
「あの、エド」
廊下を歩きながら、エドに声をかけた。
「何だい? ステラ」
「どうして、手を繋いで歩いているんです? その……周りの人たちがこっちをみているんですけど」
「そんなことか。さっき庭で話しただろう? 俺はどこまでもステラと共にあるって」
「いや、だからって手を繋ぐ必要ありませんよね? 何度も言っていますが私は目立ちたくないんですってば」
廊下を歩く私達を、周囲で見ている女子学生たちが非難の目を向けている。
「本当にエドワード王子様の恋人なのかしら?」
「まさか……あの悪女が騙したに決まっているわ」
「どんな手を使って、たらしこんだのかしら……」
やれやれ……何とも酷い言われようだ。思わずため息をついたとき――
「ステラ!」
突然エドが私の手を引き、強く抱きしめてきた。
「はぁっ!?」
あまりの突然のことに身体が硬直する。
「キャッ! だ、抱きしめたわ!」
「そんな……!」
女子学生たちは悲痛な声? をあげ、エドは私を抱きしめたまま、彼女たちに視線を向けた。
「君たち……俺の恋人に酷いことを言わないでくれないか? こんなに怖がっているじゃないか。もし彼女に嫌がらせをしようものなら……許さないからな」
「は……はい!」
「申し訳ありません!」
「すみませんでした……」
彼女たちは次々に謝罪すると、逃げるように走り去っていった。
「……よし、行ったな。ステラ、これでもう大丈夫だろう?」
エドは私の身体から離れると、笑顔になる。
「だ、大丈夫って……」
「だからこれで、堂々と俺たちは交際出来るってわけだ。よし、それじゃ早く教授のところへ行こう!」
エドは再び私の手を握りしめると、歩き始めた。
「ええ〜っ!?」
交際!? エドは何処まで本気で言ってるのだろう? 軽いパニックに襲われながら、私達はビンセント教授の元へ向かった――
勿論ここはエドが教えてくれた場所で、この大学に留学してきた早々女子学生たちに追い回されて逃げてきた避難場所らしい。
「さ、ここなら恐らく誰も来ることはない。教えてくれ、ステラの……不思議な食べ物の理由を!」
真顔で私を見つめてくるエド。あ〜……結局、行き着くところはソコなのね。
「はいはい……分かりましたよ……」
ついに、観念して私は自分の情報を全て話すことにした――
「……というわけです。信じてくれました?」
私の話している間、一言も口を利かずに話を聞いていたエドに尋ねてみた。
「ああ、信じる。信じるに決まっているだろう」
「嘘! 即答ですか!? 健忘症だとか、頭のイカれた人物だとかは思わないんですか?」
「思うはず無いだろう? 何しろステラが用意してくれた食べ物はどれも今まで一度も食したことがないものばかりだった。これでも俺は国にいた頃は『グルメ王子』という呼び名がついていて、ありとあらゆる国の料理を口にしてきた。だがしかし!」
ビシッと私を指差すエド。
「ステラが俺の為に用意してくれた食べ物は全て未知のものだった。しかも美味! これはもう異世界からやってきた存在だという確たる証拠だ!」
別にエドの為に用意していたわけではないけれど……。
「エド……私の話を信じてくれるんですね? 両親でさえ、頭がおかしくなったと言って医者を呼び集めたほどなのに……」
まさか信じてくれるとは思わず、感動する私。
「勿論だ。世界中の誰もがステラの話を疑っても、俺は信じるぞ。だからステラ……」
突然私の両肩をガシッと掴み、じっと顔を覗きこんで来るエド。
「な、な、何ですか……?」
不覚にも? トキメキを感じながら返事をする。
「また、ニホンの食べ物を食べさせてくれ。俺はどこまでもステラと共にあるからな?」
「あ〜……そうですか。ありがとうございます」
やっぱり、行き着く先はそこだったか……。
「よし、それじゃステラからの情報も得たことだし……その怪しいビンセント教授の所へ早速行こう」
エドは私の手を握りしめると立ち上がった。
****
「あの、エド」
廊下を歩きながら、エドに声をかけた。
「何だい? ステラ」
「どうして、手を繋いで歩いているんです? その……周りの人たちがこっちをみているんですけど」
「そんなことか。さっき庭で話しただろう? 俺はどこまでもステラと共にあるって」
「いや、だからって手を繋ぐ必要ありませんよね? 何度も言っていますが私は目立ちたくないんですってば」
廊下を歩く私達を、周囲で見ている女子学生たちが非難の目を向けている。
「本当にエドワード王子様の恋人なのかしら?」
「まさか……あの悪女が騙したに決まっているわ」
「どんな手を使って、たらしこんだのかしら……」
やれやれ……何とも酷い言われようだ。思わずため息をついたとき――
「ステラ!」
突然エドが私の手を引き、強く抱きしめてきた。
「はぁっ!?」
あまりの突然のことに身体が硬直する。
「キャッ! だ、抱きしめたわ!」
「そんな……!」
女子学生たちは悲痛な声? をあげ、エドは私を抱きしめたまま、彼女たちに視線を向けた。
「君たち……俺の恋人に酷いことを言わないでくれないか? こんなに怖がっているじゃないか。もし彼女に嫌がらせをしようものなら……許さないからな」
「は……はい!」
「申し訳ありません!」
「すみませんでした……」
彼女たちは次々に謝罪すると、逃げるように走り去っていった。
「……よし、行ったな。ステラ、これでもう大丈夫だろう?」
エドは私の身体から離れると、笑顔になる。
「だ、大丈夫って……」
「だからこれで、堂々と俺たちは交際出来るってわけだ。よし、それじゃ早く教授のところへ行こう!」
エドは再び私の手を握りしめると、歩き始めた。
「ええ〜っ!?」
交際!? エドは何処まで本気で言ってるのだろう? 軽いパニックに襲われながら、私達はビンセント教授の元へ向かった――