その夜、ベッドに入るとため息が出てしまった。

「はぁ〜……今夜も私の部屋の夢を見れるかな……だけど、もうお米はないし……」

いや、それ以前にあの夢を見なくては必要物資を何一つ取ってくることが出来ないのだ。

「どうか……どうか、今夜もあの夢を見ることが出来ますように……!」

私は必死で祈りながら、眠りについた――


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「う〜ん……ハッ!」

どうやら私はいつの間にか眠っていたようだ。気付いてみれば、床の上に寝そべっている自分がいた。

「良かった。今夜も夢の世界に入れたみたい……ん? 待てよ……」

ステラの身体になってからのことを思い出してみる。そう言えば私……。

「そうだ! 私、この身体になってから……まだ一度も自分の部屋以外の夢を見ていないじゃない!」

何だか不安になってきた。
これは本当に夢の中なのだろうか? 今までずっとベッドの上で眠りにつき、気付けばこの部屋で目が覚める。
そして、再び眠りにつけばステラの身体に……。

「本当に夢の世界なのかな……? 考えてみれば、夢の世界から物を取ってくることなんて普通に考えれば無理な話だし……」

よし、また目が覚めたらもう一度ビンセントのところに行って聞いてみよう。
でもまずは……。

「お米を確認してみようかな」


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「……よし、今回の戦利品はこんなものかな?」

リュックサックに詰め込んだ荷物を見て満足気に頷く。
お米は期待していたものの、結局空っぽのままだった。空になれば、リセットされるのではないかという考えはやはり甘かった。

「かといって、この部屋の時が流れているわけでもないしな……」

何故そんなことが分かるかと言うと、それは部屋に置かれたプランターの花が萎れもせずに、ずっと同じ状態で咲き続けているからだ。
社畜として殺伐とした日常生活を送る私。少しでも生活に潤いを持たせたく、花を育てていたのだ。

他にかいわれ大根、バジル、サラダ菜を育てている。
これは緑を楽しむだけでなく、少しでも食費を浮かせる目的も兼ねている。
緑と食材、まさに一石二鳥だ。

「さて……早速……寝よう!」

パンパンに物が詰められたリュックをしっかり抱えると、ベッドにゴロリと横になり目を閉じた。

そしてじっと眠くなるのを待ち続け……気付けば私は再び眠りについていた――


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「う〜ん……」

何だろう? 何だかゴツゴツしたものが身体にあたっている……邪魔だ!

グイッと押しのけた時、ふと目が覚めた。

「あれ……? あ! これは!」

私が邪魔だと思って押しのけたものは中身がパンパンに詰まったリュックサックだった。

「今の時間は……5時か。よし、なら今回は私がエドの為に自ら腕を奮ってあげようじゃないの」

早速私は着替えをすると、今は不要なものだけリュックサックから取り出し、中身を再チェックした。

「……うん、必要な物は全部揃っている。それじゃ厨房に行こうかな」


恐らく、厨房では既に仕事を始めているだろう。
その片隅を借りて、私の大好物のアレを作ろう。

「きっとエドも喜ぶに違いないわ。何しろ、昨日は色々お世話になったし」

リュックサックを背負うと、私は鼻歌を歌いながら厨房を目指した――