結局、この魔女も『魂の交換』という術? については知らなかった。
けれど、ステラが惚れ薬の薬物中毒から逃れられたのは、この身体に何かがおこったからだと思うと話してくれた。
そして私とエドは、「また、何かあったらお店においで」と魔女に見送られて喫茶店を出た。
「ステラ、今日これからどうする?」
エドが店を出るとすぐに尋ねてきた。
「とりあえず、今日は帰ることにします。もうすっかり日も暮れてしまいましたし」
既に時刻は19時を過ぎ、きれいな星空になっている。
考えてみれば今日の放課後はいろいろあった。エドと喫茶店に行った後、2人の魔女が経営する店にも行ったし……。
「そうか、分かった。なら送るよ」
エドが手を差し出して、にっこり笑った――
****
エドの馬車に2人で乗り込むと、早速彼は尋ねてきた。
「そう言えばステラ、さっきの店で『エイドリアンに復讐します』なんて言ってたけど……何か考えでもあるのか?」
「ええ、勿論です。その為にはもう一度エイドリアンに会う必要がありますね」
「何だって!? またあの最低男に会うつもりなのか!?」
私の言葉にエドが顔色を変える。
「ええ、会います。だって、そうでもなければ復讐できないじゃありませんか」
「危険じゃないか。あの男は多分そうとうステラを憎んでいる。逆に返り討ちにされたらどうするつもりなんだよ」
返り討ちとは、なかなか物騒なことを口にする。
「大丈夫ですよ。もう私はエイドリアンに飲まされた惚れ薬の効果は切れているんですから。だからカレンの取り巻きをしていたって何とも……」
そこまで口にしかけ、カレンの取り巻き男たちのことを思い出した。
そう言えば、彼らも徹底的にステラを嫌っていたっけ……。
思い出してみると、ムカムカしてきた。
「どうしたんだ、ステラ。またしても健忘症になってしまったのか?」
「違いますよ。大体健忘症になんか一度もかかったことありません。そんなんじゃありませんよ。カレンの取り巻きたちにも仕返ししてやらないと気が収まらなくなっただけです」
「なる程な……ステラは正義感に溢れているんだな。見た目と違って」
正義感に溢れている……?
「あの、エド。それってどういう意味ですか?」
「ん? 見た目と違ってという意味か?」
「それもそうですけど、聞きたいのはそこじゃありません。正義感に溢れているって意味です」
「そうか。やはり健忘症のステラには分からないか……」
またしても人のことを健忘症呼ばわりするエド。
「そんな話はいいですから、質問に答えてくださいよ」
「よし、なら特別に教えてあげる代わりに、また明日から何か美味しい食べ物を持ってきてくれるよな?」
ドサクサに紛れて図々しいお願いごとをしてくる。
「分かりましたよ。また何か持ってきますよ。それでは教えてください」
「うん。実はカレンの周囲にいる男子学生たちは全員、同じ大学に婚約者がいた者たちばかりだったのさ。ステラ、君だってそうだろう?」
「え……?」
全員婚約者がいた人たちばかり……?
その話に当然私は興味を引かれた。
ついでに、画期的な彼ら全員に対する画期的な復讐方法を思いついたのだった――
けれど、ステラが惚れ薬の薬物中毒から逃れられたのは、この身体に何かがおこったからだと思うと話してくれた。
そして私とエドは、「また、何かあったらお店においで」と魔女に見送られて喫茶店を出た。
「ステラ、今日これからどうする?」
エドが店を出るとすぐに尋ねてきた。
「とりあえず、今日は帰ることにします。もうすっかり日も暮れてしまいましたし」
既に時刻は19時を過ぎ、きれいな星空になっている。
考えてみれば今日の放課後はいろいろあった。エドと喫茶店に行った後、2人の魔女が経営する店にも行ったし……。
「そうか、分かった。なら送るよ」
エドが手を差し出して、にっこり笑った――
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エドの馬車に2人で乗り込むと、早速彼は尋ねてきた。
「そう言えばステラ、さっきの店で『エイドリアンに復讐します』なんて言ってたけど……何か考えでもあるのか?」
「ええ、勿論です。その為にはもう一度エイドリアンに会う必要がありますね」
「何だって!? またあの最低男に会うつもりなのか!?」
私の言葉にエドが顔色を変える。
「ええ、会います。だって、そうでもなければ復讐できないじゃありませんか」
「危険じゃないか。あの男は多分そうとうステラを憎んでいる。逆に返り討ちにされたらどうするつもりなんだよ」
返り討ちとは、なかなか物騒なことを口にする。
「大丈夫ですよ。もう私はエイドリアンに飲まされた惚れ薬の効果は切れているんですから。だからカレンの取り巻きをしていたって何とも……」
そこまで口にしかけ、カレンの取り巻き男たちのことを思い出した。
そう言えば、彼らも徹底的にステラを嫌っていたっけ……。
思い出してみると、ムカムカしてきた。
「どうしたんだ、ステラ。またしても健忘症になってしまったのか?」
「違いますよ。大体健忘症になんか一度もかかったことありません。そんなんじゃありませんよ。カレンの取り巻きたちにも仕返ししてやらないと気が収まらなくなっただけです」
「なる程な……ステラは正義感に溢れているんだな。見た目と違って」
正義感に溢れている……?
「あの、エド。それってどういう意味ですか?」
「ん? 見た目と違ってという意味か?」
「それもそうですけど、聞きたいのはそこじゃありません。正義感に溢れているって意味です」
「そうか。やはり健忘症のステラには分からないか……」
またしても人のことを健忘症呼ばわりするエド。
「そんな話はいいですから、質問に答えてくださいよ」
「よし、なら特別に教えてあげる代わりに、また明日から何か美味しい食べ物を持ってきてくれるよな?」
ドサクサに紛れて図々しいお願いごとをしてくる。
「分かりましたよ。また何か持ってきますよ。それでは教えてください」
「うん。実はカレンの周囲にいる男子学生たちは全員、同じ大学に婚約者がいた者たちばかりだったのさ。ステラ、君だってそうだろう?」
「え……?」
全員婚約者がいた人たちばかり……?
その話に当然私は興味を引かれた。
ついでに、画期的な彼ら全員に対する画期的な復讐方法を思いついたのだった――