「……は? 誰?」
銀色のボサボサ髪の青年は首を傾げる。
「ええっ!?」
しまった!! 私は見知らぬ男性に声をかけてしまったのだ!
しかも「ごめんね、待った?」なんて、ナンパの常套手段じゃないの!!
「あ……す、すみません!! 間違えてしまいました!」
思わず顔が熱くなる。きっと私の顔は真っ赤になっているはずだ。
「……間違えた?」
「はい、人違いです。気持ちよく寝ている所を起こしてしまうなんて本当にすみませ」
頭を下げた時。
「おい! ステラ! お前、何やってるんだよ!」
背後で苛ついた声が聞こえた。
「え?」
振り向くと、先程見かけたカップルの男性が私を睨みつけていた。その背後には女性がいる。しかも2人は互いに手をしっかりと繋いでいた。
「全く……折角お前のために時間を割いて来てやったのに、俺の前を素通りしていくなんて、どういうつもりだよ?」
栗色の髪の青年は私をジロリと睨みつけた。
「……もしかして、エイドリアン?」
「は? お前、ふざけてるのか? 決まっているだろう? それに何だよ。その馴れ馴れしい口のききかたは。いつもなら『エイドリアン様』と呼んでいるだろう?」
あまりの上から目線な言い方にイラッときた。この俺様ぶりは会社の上司や仕事もできないくせに威張り散らす先輩社員を思い出させる。
おまけに先程からエイドリアンという人物の背後から私をチラチラ見る女性の視線も気に入らない。男に色目をつかい、女性には厳しい女主任と被って見える。
もういい。
ここは会社ではない。もう社畜のような暮らしをするのはうんざりだ。
「あら、ごめんなさい。まさか私達の待ち合わせの場所に婚約者が別の女性と一緒にいるなんて思いもしていなかったので。だから別人だと思ってしまったのね」
悪女のような外見で、悪女のような台詞を吐く私。コレではまるで典型的な悪役令嬢だ。 だけど、これは私のせいだけではない。エイドリアンのせいでもあるのだ。
何故、この男は……二股かけて私を騙した元彼に雰囲気が似ているのだろう。
「な、何だと……!!」
私の言葉が余程頭にきたのか、エイドリアンの顔が怒りで? 真っ赤になる。
「まぁ……!」
女性の方は驚いたのか、目を見開く。
「プッ!」
そして、私が間違えて声をかけた青年は何が面白いのか吹き出す始末だ。いやいや、別にここは吹き出すシーンでは無いから。
「ステラ! お前、一体何様のつもりだ! 生意気な口をきくな!」
「生意気? だって私達は婚約者同士なんだよね? 対等な関係なんじゃないの? そもそも婚約者と待ち合わせに女連れってほうがおかしいでしょ?」
「何が対等だ! 一度だって、俺とお前は対等だったことなどない!」
「ステラさん。エイドリアン様に謝ったほうが良いですよ」
あろうことか、相手の女性まで私に意見してきた。
「何故私が謝らなければいけないの? 謝るのはむしろ、そっちでしょう。大体、貴女もどうかしているんじゃないの? 普通、頼まれたってついて来ないよね?」
「! そ、そんな……酷い……!」
途端に涙目になるカレンという女性。するとエイドリアンはまるでナイトの如く、カレンを守るように私の前に立ちはだかった。
「ステラ! お前、ますます性格が悪くなったな! 大体俺はお前と婚約なんかしたくなかったんだよ! 親の命令で仕方なくお前と婚約したんだ! 性悪で有名なお前とな! カレンに謝れよ!」
「うるさいな……いい加減にしてくれ」
すると、今までベンチに座っていた銀髪の青年が口を開いた――
銀色のボサボサ髪の青年は首を傾げる。
「ええっ!?」
しまった!! 私は見知らぬ男性に声をかけてしまったのだ!
しかも「ごめんね、待った?」なんて、ナンパの常套手段じゃないの!!
「あ……す、すみません!! 間違えてしまいました!」
思わず顔が熱くなる。きっと私の顔は真っ赤になっているはずだ。
「……間違えた?」
「はい、人違いです。気持ちよく寝ている所を起こしてしまうなんて本当にすみませ」
頭を下げた時。
「おい! ステラ! お前、何やってるんだよ!」
背後で苛ついた声が聞こえた。
「え?」
振り向くと、先程見かけたカップルの男性が私を睨みつけていた。その背後には女性がいる。しかも2人は互いに手をしっかりと繋いでいた。
「全く……折角お前のために時間を割いて来てやったのに、俺の前を素通りしていくなんて、どういうつもりだよ?」
栗色の髪の青年は私をジロリと睨みつけた。
「……もしかして、エイドリアン?」
「は? お前、ふざけてるのか? 決まっているだろう? それに何だよ。その馴れ馴れしい口のききかたは。いつもなら『エイドリアン様』と呼んでいるだろう?」
あまりの上から目線な言い方にイラッときた。この俺様ぶりは会社の上司や仕事もできないくせに威張り散らす先輩社員を思い出させる。
おまけに先程からエイドリアンという人物の背後から私をチラチラ見る女性の視線も気に入らない。男に色目をつかい、女性には厳しい女主任と被って見える。
もういい。
ここは会社ではない。もう社畜のような暮らしをするのはうんざりだ。
「あら、ごめんなさい。まさか私達の待ち合わせの場所に婚約者が別の女性と一緒にいるなんて思いもしていなかったので。だから別人だと思ってしまったのね」
悪女のような外見で、悪女のような台詞を吐く私。コレではまるで典型的な悪役令嬢だ。 だけど、これは私のせいだけではない。エイドリアンのせいでもあるのだ。
何故、この男は……二股かけて私を騙した元彼に雰囲気が似ているのだろう。
「な、何だと……!!」
私の言葉が余程頭にきたのか、エイドリアンの顔が怒りで? 真っ赤になる。
「まぁ……!」
女性の方は驚いたのか、目を見開く。
「プッ!」
そして、私が間違えて声をかけた青年は何が面白いのか吹き出す始末だ。いやいや、別にここは吹き出すシーンでは無いから。
「ステラ! お前、一体何様のつもりだ! 生意気な口をきくな!」
「生意気? だって私達は婚約者同士なんだよね? 対等な関係なんじゃないの? そもそも婚約者と待ち合わせに女連れってほうがおかしいでしょ?」
「何が対等だ! 一度だって、俺とお前は対等だったことなどない!」
「ステラさん。エイドリアン様に謝ったほうが良いですよ」
あろうことか、相手の女性まで私に意見してきた。
「何故私が謝らなければいけないの? 謝るのはむしろ、そっちでしょう。大体、貴女もどうかしているんじゃないの? 普通、頼まれたってついて来ないよね?」
「! そ、そんな……酷い……!」
途端に涙目になるカレンという女性。するとエイドリアンはまるでナイトの如く、カレンを守るように私の前に立ちはだかった。
「ステラ! お前、ますます性格が悪くなったな! 大体俺はお前と婚約なんかしたくなかったんだよ! 親の命令で仕方なくお前と婚約したんだ! 性悪で有名なお前とな! カレンに謝れよ!」
「うるさいな……いい加減にしてくれ」
すると、今までベンチに座っていた銀髪の青年が口を開いた――