第1章

「ようきたな、かずちゃん」野菜がたくさん植っている庭を抜けて、孤児院の先生に渡された紙切れに書かれていた苗字を確認して、チャイムを鳴らすと、タンクトップにパンツ1丁のおじいさんがにこにことして迎え入れてくれた。おじいさんは、びんぞこ眼鏡をかけていて、昔ひとりで震えながら見た、金曜ロードショーの、バックトゥーザフューチャーにでてくる博士みたいだと思った。