「ずっと言おうと思ってたことがあるんだけど」

私の手を握りながら皇坂くんは色っぽい目で見つめる。
その視線に捕まれば私は逸らすことなどできなかった。

「うん・・・?」

「名前、呼んでほしい」

「名前?」

「そう、名前。
俺も名前で、呼びたい」

手をぎゅっと握り「だめ?」と上目遣いで聞かれたら断ることなどできなかった。

「先に皇坂くんが呼んで・・・?」

俯きながらそう答えると「わかった」という声が聞こえた。

「・・・こっち向いて?」

俯いていた顔をゆっくり上げる。
優しい表情で私を見つめている皇坂くんと視線が重なる。
綺麗な唇がゆっくり動いた。

「弥兎」

そして、
とても愛しそうに甘く、私の名前を呼んだ。

「っ///」

名前を呼ばれただけなのに胸の奥がキュッと苦しくなった。
言葉にできないけど、すごく心が温かくなるのを感じて、
好き、という気持ちが溢れて止まらなくなる。