「えっ・・・」

小さく声を漏らし、隣にいる皇坂くんを見上げると
口元に人差し指をあてて「しーっ」と笑っていた。

あまりの格好良さに直視できず、
バッと前を向き、カメラの方を見るが意識は右手に集中していた。

にぎにぎと握ってくる皇坂くんの手がくすぐったくて、
もう一度見上げると今度はニヤニヤしていた。

「っ///」

絶対、楽しんでる!
恥ずかしさのあまり自分から手を離すと、
すぐさまぎゅっと握られた。

離したらダメと言わんばかりに強く握られ、
私もぎゅっと握り返す。

「よし、これで支えたら撮れるだろ」

自分も混ざれるように先生は携帯を教卓の上に固定すると
タイマーを設定し、カメラのボタンを押した。

「10秒だぞ~」

先生はそう言うと数を数えながら私たちがいるところに混ざった。

ピピピッ、カシャッ

「撮れたかな~」

笑いながら教卓にある携帯を手に取ると柴田君に渡し、今さっき撮った写真を確認していた。

「うん、上手く撮れてるな。
じゃあ、あとは各自好きなタイミングで帰っていいぞ~
アイスのゴミは前に袋置いておくからここに入れとけよ」

先生はそう言うと手をヒラヒラさせながら教室から出ていった。