「あー!暑い!暑かった!!!」
流れでる汗を拭いながら私たちは校舎に向かって歩いていた。
タオルで拭っても拭っても汗が流れてくるから咲羅は諦めたのかタオルを頭にかけた。
「惜しかったね~」
「ほんとに!」
結果としては負けてしまった。
応援に来てくれていたクラスメイトの子や他のクラスの子たちも思わず声がでてしまうくらい白熱したのもあり、
負けてしまったことが正直、めちゃくちゃ悔しい。
「久しぶりにこんなにも悔しいかも」
頭にかけたタオルをギッと握り、歩みを止めた咲羅を振り返る。
「うん、私もすごく悔しい。
スポーツやってる人たちってこんなにも悔しい思いを何度もしてるのかなって思うと続けてるの凄いよね」
「ほんとに、すごいよ」
「次は絶対に勝ちたいからたくさん練習するんだよね」
一歩、また一歩と咲羅に近付く。
「あ~、もう一回やりたい」
そう言った咲羅の顔は満面な笑顔だった。
「なんでそんなに嬉しそうなの」
「えー?だってこんなにも楽しかったの久しぶりなんだもん!
弥兎と一緒だからかな?来年も一緒にやろうね!」
ガバっと抱き着いてきた咲羅を受け止めながら私も笑う。
「私も咲羅と一緒に出来て楽しかった!
来年もって言いたいけどクラスが一緒になるか分からないからなぁ」
そこまで言うと私の体を引き離し両肩に手を置いた。
「いやいや、来年も一緒だからね?」
「え、そうなの?」
「そうだよ!」
あまりの必死さに笑ってしまった。
「もー!って、ちょっと待って。
次って体育館でバスケの試合じゃなかった?男子の!急ご!」
そういうや否や私の手を取ると体育館に向かって走り出した。
私は溢れでる笑みを隠しながら咲羅の背中を見つめた。