そんな時に背後から微かな悲鳴が聞こえ、
反射的に振り返る。

「あ、圭と愁斗だ」

皇坂くんの近くに圭と愁斗の姿が見えた。

「圭って何だかんだ応援来てくれるよね」

「去年も確か来てくれてたよね」

去年の球技大会も応援に来てくれたのを思い出す。
圭ってスポーツに関しては真面目だからなぁ。

「それにしてもあの3人がいるだけで別世界のようだね」

「圭と愁斗も格好いいから仕方ないよ」

眩しそうに目を細める咲羅の姿が可笑しくて思わず笑ってしまった。

「あ、こっち見た」

咲羅の言葉にもう一度3人を見ると皇坂くんとバチッと視線が合った。

「・・・」

表情を変えることなく私をじっと見つめる皇坂くん。
「頑張るね」の意味も込めて少し微笑むとパッと逸らされてしまった。

「咲羅~、弥兎~、がんばれー」

すると突然、皇坂くんの隣にいた愁斗が私たちの名前を呼んだ。
周りにいた女子生徒の何人かがその言葉に反応する。

「がんばるね~」

咲羅は特に気にすることなく返事を返し、
私は笑いながら手を振った。