球技大会の種目が決まった次の日から各種目で練習が始まり、
皇坂くんもお昼休みには体育館に行くことが増え、
女子生徒たちがお昼休みに体育館に集まるという謎の現象が起きた。

皇坂くんが球技大会でバスケに出場することは瞬く間に学校中に知れ渡り、
練習している姿を一目見ようと体育館に女子生徒が殺到したようだった。

そんな漫画みたいな世界って思っていたけど、
実際に起きていたから皇坂くんの人気っぷりには驚いた。

当の皇坂くんは興味が全くなかったみたいで、
帰りが一緒になったときに一度だけ聞いてみたけど
「逢原さん以外は興味ないから」と即答された。

私はこんなにもモテる人と付き合っているんだなぁと嫌でも実感してしまった。
嫉妬するタイプではないけどちょっとだけモヤモヤはする。
球技大会当日が少しだけ不安だけど、きっと大丈夫だよね・・・。

拭いきれない不安を心に残しながら毎日過ごしていたら
あっという間に球技大会当日を迎えた。

「よーし!今日は頑張るぞー!!!」

教壇に立ち声を張り上げている柴田君の頭には真っ赤なハチマキが巻いてあった。

「柴田、頭のハチマキはとってからじゃないと出場できないからな」

柴田君の横で担任の先生が静かに声をかける。

「わかってますよ先生!やっぱり見た目から入って気持ちを高めないと!ですよ!」

「そうだな」

さほど興味がないのかサラッと流し、

「まぁ今日は球技大会だけど怪我だけには充分気を付けろよ~」

私たちに一声かけると教室から出て行った。

「相変わらず冷めてるよね」

隣にいた咲羅が苦笑いを零す。

「先生らしいけどね」

体操着に着替えた私たちは体育館に集合しなきゃいけない時間まで教室で待機していた。