駅のホームに着き、キョロキョロとあたりを見渡す。

「あ、いた」

ホームのベンチに座っている皇坂くんを見つけた。
ゆっくりと近付く。
話しかけるわけではない。
皇坂くんの視界に入るように電車を待つ人たちの列に並ぶ。

すると、後ろで誰かが立ち上がる気配がした。
私が並んでいる列じゃなく、1つ隣の列に皇坂くんは並んだ。

【まもなく1番線に電車が参ります、内側の~・・】

アナウンスが流れ電車が停車する。
降りてくる人たちを待ち、電車に乗り込む。

今日は少しだけ人が多く座ることは出来なった。
皇坂くんも同じだったようでつり革を持ちながら携帯を見ていた。

電車が進むにつれ、乗っていた人たちもだんだんと少なくなる。
車両にいた同じ制服を着た人たちも少しずつ降りていく。

そして、同じ制服を着た人が私と皇坂くんのみになったとき、

「お待たせ」

皇坂くんはいつも私がいるところまで来てくれる。

パッと顔を上げると私の大好きな優しい笑顔があった。

「うんっ、座ろう」

いまだにその笑顔に慣れることはなくまだ緊張しちゃう。
それを知ってか知らずか皇坂くんはいつも嬉しそうだった。