「ポジション決めてやってみたいなって考えてた」

「「「・・・」」」

そんな返事が返ってくるとは思ってなかった4人は驚きのあまり何も言葉が出ず、じっと皇坂くんを見つめていた。

「・・・なに」

「皇坂って意外とイイやつだったりする?」

徹が少し笑いながら問いかける。

「イイやつかどうかは知らないけど、楽しそうじゃん。
強いやつと戦うの好きだから」

その言葉が聞こえたとき、私は自分の頬が緩むのを感じた。
誰とも話さない、関わらない皇坂くんだったけど、
少しずつ変わっていっているのかもしれない。

「へぇ」

愁斗がニヤッと笑う。
南於も嬉しそうに笑った。

「決まりだな」

圭の言葉で南於が「よっしゃ!」と叫ぶ。
教室にいた何人かが5人に注目するが気にすることなく話しを続ける。

「皇坂、明日の昼休み時間ある?」

圭の問いかけに考え込んでいた皇坂くんだったが「あぁ」と頷きながら返事をした。

「じゃあ明日の昼休みに少しだけバスケやってみようぜ。
どれだけ出来るか見てみたいし」

「いいね、それ!
バスケ部で集合しよう!」

嬉しそうに笑う徹を皇坂くんはじっと見つめていた。
その表情は冷たいものでなく、どこか柔らかいものだった。

「賛成~!」

「鍵は俺らが開けるから」

「わかった。じゃあ、俺はこれで」

話しを切り上げ、皇坂くんは鞄を肩にかけ4人に声をかける。

「足止めしてごめんね、また明日!」

徹はそう言うと手を軽く振った。
それに続き、圭、愁斗も右手を軽く挙げた。
「じゃーね!」と南於だけは両手で手を振った。

「あぁ」

皇坂くんはそれだけ言うと4人に背を向け教室から出て行った。