名前を呼ばれた皇坂くんはその場に立ち止まる。
恐る恐る皇坂くんの傍まで行く男子バスケ部の4人の後姿は何だか可笑しかった。

「一番驚いているのはあの4人かもね」

「そうかもね」

咲羅の言葉に私は少しだけこの球技大会で変化があればいいなと思った。

「ちょっとなに話しているか気になるからもうちょっとだけ残ろ!」

「え、ちょっと」

ぐいっと咲羅に腕を引っ張られ、教室の後ろまで行く。
皇坂くんの席が廊下側にあるから気付かれないようにそっと近づく。

「盗み聞きはダメだよ」

「気になるもん!少しだけ!」

「お願いっ」と言われたらそれ以上は何も言えず渋々承諾した。
空いていた席に座った私たちは気付かれないように息を潜め、
聞こえてくる5人の会話に耳を傾けた。

「皇坂ってバスケしたことある?
というか、俺らの名前・・・」

「バスケはしたことある。
右から(けい)(とおる)愁斗(しゅうと)南於(なお)

言葉を遮り、次々に名前を呼んでいく皇坂くんの姿に
4人は驚きを隠せないのか目を見開いていた。

「・・・違った?」

4人の表情に間違えたと思ったのか聞き直す。