「他の人はどうしますか?」

もう一度、皇坂くんを見るが表情を崩さないまま黒板をじっと見つめていた。

「皇坂くん、今年は参加するのかな」

咲羅がボソッと呟いた言葉に「え?」と無意識に反応してしまう。

「皇坂くん、去年は欠席したらしいから今年は参加するのかなぁって」

「そう、なんだ・・・」

「ま、みんなとつるまないし今年も参加しないかもね」

私と皇坂くんが付き合い始めたことは学校の誰にも話していない。
もちろん咲羅にも。
本当は話したかったけど、今のタイミングではないと思って内緒にしようと皇坂くんと決めたのだった。

「バスケ、やらないのかな・・・」

無意識にでた言葉だった。
咲羅に「何か言った?」と言われ、そこで初めて自分が発した言葉に気付いた。

「ううん、なんでもないよ」

咄嗟に誤魔化したが、咲羅は勘が鋭いからバレるのも時間の問題かな。

「俺的に皇坂はバスケやってもらえると助かるんだけど」

柴田君が恐る恐る言葉を投げかける。
それもそうだった、男女混合のバスケだけど私のクラスには男子バスケット部が4人いるのだ。
その4人はもちろんバスケを選択している。

その中に女子が混ざってやるのは難しいと判断しての言葉だろう。
クラスの何人かが皇坂くんをチラチラ見ている。

「・・・」

それでもなお、皇坂くんは何も言わずに柴田君の顔を見つめていた。

「やっぱり難しいか・・・」