「わっ!ちょっ」

驚きながらも嬉しそうに笑う燈真を見て私もまた笑った。

「皇くんのせいで髪の毛ボサボサになったじゃないですかー」

解放され自分の髪の毛を触りながら燈真がボソッと呟く。
文句を言いながらも顔はずっと笑顔だった。

「もっとしようか?」

「もういいです」

笑いながら頭の上で腕をクロスにし髪の毛を守る燈真を見て皇坂くんも笑っていた。

「そろそろ帰ろっか」

楽しそうな2人を見つつ歩き出すと、
2人も後を追うように私の横に並んだ。

「みんなと一緒に帰らなくてよかった?」

「うん、家族が来てる人は一緒に帰ってもいいって言われた」

「そうなんだね」

行きは学校からのバスで会場まで来た燈真。
帰りはどうするか気になっていたけど、一緒に帰れるのであればそれはそれで嬉しかった。

「ねぇ、皇くん」

しばらく歩いていると不意に燈真が話し出す。

「ん?」

「このままさ、いつもの公園に行ってバスケしたい」

「え?」

燈真の言葉に驚いたのは私だけで皇坂くんは「もちろん」と笑って返事をしていた。
まるでその言葉を待っていたかのように。