太陽が完全に沈んだ頃に2人の練習は終わった。
途中から熱が入ってしまったらしく、2人とも汗だくだった。
「あっつ~」
「ちょっとやりすぎたな」
3人でベンチがあるところに戻ってくると、2人はタオルで汗を拭きながらTシャツをパタパタとしていた。
「燈真、お母さんには連絡入れてあるからそんなに急がなくていいからね」
「わかった、ありがとう!
汗で気持ち悪いから洗ってきていい?」
「いいけど、頭から水を被るのだけはやめてね?」
「・・・はーいっ」
悪戯がバレた子供のような表情をしながら燈真は手洗い場まで走って行った。
「被ろうとしてたな、あれは」
水を飲みながら皇坂くんは燈真の後姿を見つめていた。
「ほんとにね」
笑いながら燈真の荷物をまとめていると
「遅くまで練習してごめん。
親御さんも心配してたよな?」
皇坂くんがペットボトルの蓋を閉めながら
申し訳なさそうに私の顔を覗き込こんだ。
「ううん、全然大丈夫だよ。
燈真にとって今日は特別な日だと思うし、お母さんたちもそれを分かってるから。
だから気にしなくて大丈夫!
むしろ、遅くまで練習付き合ってくれてありがとね」
ニコッと微笑むと「はぁっ」と溜め息をつき、下を向いてしまった。