しばらくすると落ち着いてきたのか、抱き締めていた力が弱まったのが分かった。
そっと皇坂くんから離れ、燈真はゆっくり後ろに下がる。

「ごめん、なさい・・・」

「気にしてない。大丈夫か?」

「はい・・・」

元気がない燈真を見るのは久しぶりで、
何があったか聞きたい気持ちと聞いてはいけない気持ちが複雑に絡み合っていた。
皇坂くんも同じ気持ちなのか複雑な表情をしていた。

「皇くん・・・」

そんな時に燈真が小さな声で話し出す。

「ん?」

「皇くんって、中学生の頃からバスケやっていて、
高校からはやっていないって、言ってたと思うんですけど、
中学生の時って、ここの公園で練習してました・・・?」

語尾が小さく恐る恐る聞いているようだったが、
目はどこか期待に満ちているようにも見えた。

「あー・・・そう、だな。
言ってなかったけど、ここの公園で毎日のように練習してたよ」

その言葉を聞いた途端、燈真は大きく目を見開き、口元をキュッと結んだ。
泣くのを我慢している、そう思った。

「そっかぁ。やっぱりそうなんだぁ・・・」

独り言のように呟くと「うぅっ・・・」とまた泣き出してしまった。