「っ?」

驚きながらも目を逸らすことなく皇坂くんも燈真をじっと見つめる。

「・・・皇くん、だったんだ・・」

呟くように言うとゆっくり体の向きを変え、そのまま皇坂くんの目の前に立った。

「ん?」

優しく微笑みながら首を傾げたとき、燈真はぎゅっと抱き着いた。

「おっと」

想像していたより力が強かったのか少しふらついてはいたが、
しっかりと抱きとめた。

「燈真?」

名前を呼びながらそっと頭を撫でると、
更にぎゅっと抱き締める力が強くなった。

「・・っ・・うぅっ・・っすん・・」

何も言わず、涙を流す燈真。
心配そうに見つめながらも皇坂くんは何も言わず頭をずっと撫で続けていた。

私は何もできずに2人の姿を見守ることしか出来なかった。